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2017.01/17 界面活性剤(1)

界面活性剤は、油に溶けやすい構造(親油基)と水に溶けやすい構造(親水基)とを一個の分子内に有する構造の分子である。そしてその構造の比をHLB値と呼び、それぞれの用途で必要となる界面活性剤を選択するときの指標となっている。

 

ただし界面活性剤の指標はHLB値だけでは無い。水に界面活性剤を分散したものを加熱していったときに曇ってくる温度、すなわち曇点も界面活性剤選択の上で重要な指標となる場合がある。

 

界面活性剤は、身近の例では石鹸や洗剤などの形態で見ることができる。界面活性剤がいつ頃から使用されてきたのか歴史的には諸説あるが、界面活性剤として呼ばれるようになったのは、少なくとも20世紀になってからではないか?

 

そのはるか昔、油脂を石鹸代わりに使用していた痕跡が見つかっているので、紀元前から使用されていた可能性もある。ただ、テルマエロマエでは石鹸を使用している光景は現代へワープした後だった。

 

いつ頃から使われるようになったのか当方は知らないが、その科学的知識が明確に確立された、すなわち教科書に書かれている内容にばらつきが無くなったのは、つい最近の20世紀末である。

 

界面の科学は、意外と遅れていたのである。これは恐らく界面活性剤の利用技術が先行しており、その科学的知識の整理が遅れたためだろうと思う。すなわち技術が先行すると科学ですべて解明されているような気分になり、科学の問題設定が難しくなる。

 

例えばシリカゾルをミセルに用いたラテックス重合技術は1996年に実用化されたが、ある科学雑誌にイギリスの研究者から同様のコンセプトの論文が2000年に発表され、そこには世界初と書かれていた。

 

その論文に書かれた内容が世界初であれば、当方らの技術開発が本当の世界初であり、慌てて学会発表を行った。学会発表が遅れた理由は、ゾルをミセルに用いる研究はすでに誰かが発表していると勘違いしたからである。

 

 

カテゴリー : 高分子

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