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2017.01/18 界面活性剤(2)

界面活性剤について、1970年代の教科書に不適切な記載がある。それは、その定義であり大変狭い。実は分子内の構造に親水性の部分と親油性の部分の二つが存在すると、どのような分子でも界面活性剤として利用しうる。用途によっては効果が低いだけだ。

 

当方がゴム会社を転職するきっかけとなった事件は、ゴムからの抽出物で電気粘性流体の粘度が増粘する問題を界面活性剤を用いて解決してから起きている。そしてその解決方法について、界面活性剤を用いて、という言い回しは禁句とされ、第三成分と呼ぶように指導された。

 

今から考えるとばかげた話だが、これは、電気粘性流体の増粘問題を界面活性剤で解決できない、という結論の報告書が出されたばかりだったからだ。すなわち界面活性剤で解決できない、と結論した直後に、その手段で解決できた、とは報告しにくかったからだろうと思う。

 

1991年の転職間際にこの否定証明の典型的な事例ともいえる報告書を記念に読んでみたが、科学的方法で忠実に研究が進められその考察も大変レベルの高い内容だった。当方が手持ちの200種類以上の材料を増粘した電気粘性流体に放り込んで一晩放置し、粘度を下げることができた化合物を発見した方法に比較すると天と地の差がある。

 

ただ、当方は界面活性剤の科学について危うい側面が存在することを知っていたので、界面活性剤として機能しうる化合物を常にコレクションとして持っていた。持っていた理由は、セラミックスの泥しょう開発に界面活性剤が欠かせなかったからである。当時はこのようなノウハウを集めていたセラミックス分野のプロフェッショナルだった。

 

カテゴリー : 高分子

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