2017.01/26 高分子材料(16)
ゼラチンとシリカゾル、ラテックスの3種のコロイドを混合するときに、それぞれのコロイド溶液に分散している微粒子表面のゼータ電位が乱れる現象を避けることができない。
すなわち何らかの複数のコロイド溶液を混合するときに、この粒子表面のゼータ電位の乱れから偶然クラスターが生成する可能性が高くなる。ひどい時には沈殿が生じたりする場合もある。
だからコロイド溶液を複数混合するときに、混合順序が問題になったりする。混合したときに沈殿が生じない条件を科学的に求める方法もないわけではないが、このような場合には試行錯誤で肉体頼りに体育会系的実験を行ったほうが早く問題解決できる。
そしてうまくいった条件についてゼータ電位測定などを行い、理論を後付けで行ういわゆる「せこい方法」が効率的である。世の中には「せこい方法」を毛嫌いする人もいるが、これでノーベル賞をとった人もいるので侮らないほうが良い。
特に高分子材料の開発では、清く正しく科学的に開発を進めるという人は、なかなか成果を出せないと思ったほうが良い。企業の研究開発では、科学を重視しすぎると組織の足を引っ張る場合もある。
適当に実験を行い成果を出してから、その成果の考察を科学的に行い、全体を科学的に見せるような開発手法が効率的である。写真会社ではこのような手法で開発を進め、学会発表にも力を割くことができた。
シリカゾルをミセルとして用い、ラテックスを重合する手法は、昨日まで書いたようにホワイトボードに書いた漫画がきっかけで誕生している。そして技術が出来上がってから三重大学川口先生のご指導を仰ぎながら科学的に新発明の手法について解析を行っている。解析結果でもシリカゾルがミセルとして機能しているという結果が出たので、改めて驚いた。
カテゴリー : 高分子
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