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2017.01/30 高分子材料(20)

ゾルをミセルに用いてラテックスを重合し有機-無機複合ラテックスができた。この有機-無機複合ラテックスとゼラチンを複合化したバインダーは、ゼラチンよりも高硬度であるにもかかわらず、靱性がゼラチン単体よりも改善されていた。

 

すなわち硬くなたったにも関わらず割れにくいゼラチンバインダーが開発されたのだ。特許の追試で得られたコアシェルラテックスでも靱性を改善できるが、このバインダーほど高い硬度にならない。

 

理由は、コアシェルラテックスではシリカの周りを柔らかいラテックスが覆っているためで、開発されたバインダーではシリカが直接ゼラチンを補強しさらに架橋点としても働いているので高い硬度となる。

 

無機フィラーで樹脂を補強するとき、超微粒子でうまく補強すると高硬度高靱性の材料になることはすでに知られていたが、まさにそのような材料ができていたのだ。この成果は写真学会から評価されゼラチン賞を受賞した。

 

靭性という物性は線形破壊力学でよく研究されたが、引っ張り強度がこの靭性と弾性率の関数になるとらえ方は未だに経験論の範囲である。しかし新たなゼラチンバインダーは改善された靭性の寄与で引っ張り強度も増加した。後日PPS中間転写ベルトを事例にこの経験論について再度とりあげる。

カテゴリー : 高分子

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