2017.02/10 高分子材料(29)
この欄では技術の視点で高分子材料について書いているが、ゴムの説明について現代は難しい時代だ。40年前ならば、ゴムといえば加硫ゴムが常識だったが今は熱可塑性エラストマーの普及で加硫ゴム以外もゴムと呼ばれるようになってきた。熱可塑性エラストマーがゴムの代表のようになっている時代だ。
身の回りのゴムで加硫ゴムが極端に少なくなった。コンピューターのマウスに使用されているゴム部分はほとんどが熱可塑性エラストマーで、年数がたつとべたべたしてくる。出来の悪い製品では、一年程度で可塑剤がブリードアウトし、触るのが気持ち悪くなる製品もある。ハツカネズミのほうが手触りがよい。
ポリエチレンはコポリマーとして利用されるときにはゴムの代用である。ひどい製品になるとポリエチレンに可塑剤だけブレンドしてゴムパッキンとして利用している場合がある。中国で見つけた食品容器の多くはこのポリエチレンをゴムパッキンとして使用していた。
ゴムの性能という視点でざっくりと見たときに、加硫ゴムの物性は熱可塑性エラストマーよりも優れており、加硫ゴムのコストダウン品として熱可塑性エラストマーが利用されている。自動車用タイヤはいまだに加硫ゴムでなければ製品を作れないが、遊園地にあるおもちゃのカート用タイヤには熱可塑性エラストマーが一般に使われている。
いまや室温で弾性体であればゴムと呼んでおり、樹脂に可塑剤をたっぷりと添加したものまでゴムとして利用されている例も存在するので、ゴムと樹脂で高分子材料を分類しようとすると頭が混乱するかもしれない。
カテゴリー : 高分子
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