2017.02/13 高分子材料(32)
パーコレーションの性質を知るには、真球が高分子中で分散し添加量の増加とともにクラスターが増加する様子をコンピューター上でシミュレーションすると勉強になる。
数学ではボンド問題やサイト問題、あるいは次元の問題など細かいところが重要になるが、高分子材料物性では大雑把な変化を頭に描くことが重要になってくる。そのためにコンピューター上で勉強するとよい。
この時凝集粒子すなわちあらかじめ一定量の粒子でクラスターが生成している状態のドメインを分散させてパーコレーション転移を考察すると面白い。実はPPS-6ナイロン系中間転写ベルトの開発はこの考え方がプラント立ち上げ成功のために重要だった。
あらかじめパーコレーションが生じているドメインを高分子に分散してそのパーコレーションを制御する技術、Wパーコレーションと名付けてもよい技術アイデアが、混練プロセス開発過程で生まれた。
カオス混合プロセスもこの特殊なパーコレーション転移制御技術に寄与しているわけで、思い描いた通りの高次構造が得られた時にはびっくりした。一応それを狙ってプロセスデザインを行ったのだが、無駄な実験をすることなくきれいな結果が得られた。
プラント建設も初めて二軸混練の研究開発をはじめて2ケ月後に中古機を購入してスタートしている。木下藤吉郎の一夜城と同じようなトリックを使い成功している。
ちなみにこの時PPSとカーボンはTm以下で混練している。またスクリューセグメントには剪断力を効かせたかったのでローターを2ケ所使っている。そのためモーターにはかなり負荷をかけた混練方法となるはずだったが、意外にもトルクが低く開発を始めてすぐに成功を確信した。
カテゴリー : 高分子
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