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2017.02/15 高分子材料(33)

樹脂技術の専門家と話していると面白い。混練技術に対する考え方が二軸混練機に束縛されているのだ。その結果フィラーの分散を進めるためにはL/Dを40以上にする以外、すなわち二軸混練機を長く設計する以外にプロセス設計のアイデアが湧かない。

 

ウトラッキーはなかなかのアイデアマンで伸長流動装置を完成させている。日本で2000年ごろに行われた高分子精密制御プロジェクトではL/Dが60以上の二軸混練機とともにこの伸長流動装置も研究されたが普及していない。

 

この時同時に高速剪断装置もプロジェクトで検討されている。東工大の中浜先生がリーダーとなって進められたプロジェクトで、技術の視点ではどうかと思われた内容だが科学の視点で成果が出ていると当方は評価していたが世間では酷評されたプロジェクトだった。

 

この時、ナノ分散を実現する技術として伸長流動が注目されてプロジェクトの内容が決まったようだが、ナノ分散に限界があると言われていた剪断流動も同時に検討しているあたりは学者の手堅さだ。

 

酷評されたプロジェクトだったが当方は科学的プロジェクトとして大成功だったと思っている。ナノ分散を実現するために伸長流動を重視すると設備を大きく設計しなければいけなくなり、ナノ分散に限界があると思われた剪断流動では実用化できないほどの高速回転でナノ分散を実現できることが分かったのである。

 

ただこの成果ではそのまま実用化できないので酷評されたのだが、科学の真理としてこの成果は大変なことなのである。当方はこの成果報告会を聞き、カオス混合以外にナノ分散を実用化する方法はない、と確信できた。

 

当方の技術を審査した審査員もそうだが自分が納得できない成果は評価しないという狭い了見の科学を重視する研究者が多い。技術的成果や科学的成果が認められるならばそれを正しく評価すべきである。

 

科学的成果ではあたりまえの成果しか出ないので評価が難しいのかもしれない。また技術的成果で科学の香りのしない、あっと驚くためゴロー式発明では評価するのが恥ずかしくなるのかもしれない。PPAPの爆発的ヒットを昨年から溜息をつきながら眺めている。

カテゴリー : 高分子

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