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2017.02/18 高分子材料(35)

高分子材料の力学物性においてプロセシングの影響は大きいが、経験的にセラミックスほどではないと思っている。

 

しかし、退職直前に開発したPETボトルのリサイクル材が80%を占める材料は当方が開発したカオス混合装置を用いなければ転写性の良好なコンパウンドを製造できない、という極めてプロセス依存性の大きな樹脂だった。

 

また、力学物性以外に難燃性もカオス混合装置を取り付けていない二軸混練機ではどのようなスクリューセグメントでも良好な成形体を実現できるコンパウンドを製造できなかった。

 

この原因はコンパウンドのレオロジーを計測して明らかになったが、カオス混合装置を通過したコンパウンドではポリカーボネートに近い粘弾性特性を示したのに対し、二軸混練機だけで混練されたコンパウンドはPETの粘弾性特性そのものだった。

 

すなわち異なる混練プロセスで同じ組成の樹脂でも粘弾性特性が大きく変化する場合ではプロセス依存性が大きくなる。

 

退職直前に開発したリサイクル材を80%含むPET樹脂の残り20%には5種類の樹脂が添加されており、難燃剤は添加していない。難燃剤は無添加であるがUL94試験のV2に合格する難燃性樹脂である。

 

またその力学物性は、PC/ABSの弾性率より10%前後低い物性で電子写真機の内装材として使用可能で、転写性はPC/ABSよりも優れウェルドの発生がほとんど見られなかった。

カテゴリー : 高分子

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