2017.02/28 高分子材料(45)
PPS・6ナイロン・カーボンの3成分をそのまま同時に投入して二軸混練機で混練するとPPS相と6ナイロン相にカーボンが分散したコンパウンドが得られる。
このコンパウンドを用いて丸ダイで押出成形を行うと、コートハンガーダイではウェルド部の抵抗が大きく変動する。また金型の温調がうまく制御されていなければ、ウェルド部以外も抵抗が変動する。
これは導電性微粒子の分散で問題となるパーコレーション転移という現象のためで、それを制御できる技術を開発しない限り、周方向で抵抗が安定したベルトを製造できない。
あらかじめ6ナイロンにカーボンを二軸混練機で分散し、その後PPSを投入すると6ナイロン相の島にカーボンが分散し、PPSにほとんどカーボンが分散していないコンパウンドを製造可能である。
但し、このコンパウンドを用いてベルトを製造すると周方向の抵抗を安定化できるが紙のように脆いベルトとなる。
バンバリーを用いても同様のコンパウンドを製造可能で、二軸混練機との違いは、6ナイロン相だけに選択的にカーボンを分散させることが可能である点と、カーボンが分散した6ナイロン相の島が少し小さくなる現象である。
このコンパウンドを用いても紙のように脆いベルトしか得られない点は、二軸混練機の場合と同様である。
このように混練機をうまく使い分けると高次構造を制御可能である。しかし、既存の混練機ではその制御可能な範囲に限界があるので新技術の開発が必要になった。
カテゴリー : 高分子
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