2017.03/01 高分子材料(46)
PPSと6ナイロンの2成分系で混練を行うと、少ないほうの成分が島となる。不思議なことにバンバリーで混練したときに二軸混練機で同様の組成を混練した場合に比較して島が少し小さくなるのだ。
但しこれはバンバリーの運転条件にもよる。バンバリーの運転は経験知と暗黙知により、最適条件が左右される、ノウハウの部分が大きいプロセスである。
バンバリーには基本的な運転方法が存在する。しかし二軸混練機に比較してかなり自由度の高い混練プロセスである。ロール混練プロセスも同様であり、バンバリーとロールで混練を行う加硫ゴム技術はノウハウの有無がその製品性能を大きく左右する。
二軸混練機を用いたときに、融点以下の温度条件で混練するとバンバリーに近い自由度が生まれる。高分子学会賞の審査会で企業審査員の発言を聞いて驚いた。融点以下で樹脂を混練すると必ず分子の断裂が起きると信じている人がいる。
融点以上で混練していても分子の断裂は起きているのである。また融点より低い温度条件ではスクリューセグメントの工夫をしない場合に分子の断裂は激しくなるかもしれないが、スクリューセグメントのデザインさえうまく行えば、混練前と混練後で分子量低下はほとんど起きない。
PETボトルのリサイクル樹脂を開発したときに特許調査を行ったところ、剪断混練と称して、リサイクルPET樹脂をPETの融点以下で混練する技術に関する特許が開示されていた。
このような特許が成立する背景を考えると、樹脂の混練を融点以上で行うことが常識であり、融点以下で行うのは驚くべき技術と言うことになるが、ゴムでは昔から融点以下で混練が行われてきた歴史がある。
カテゴリー : 高分子
pagetop