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2017.04/16 技術をどのようにアピールするのか

レシプロエンジンで発電し、それを電池に一度充電してからモーターを動かす、あるいはレシプロエンジンで発電されたエネルギーでモーターを動かすというシステムは、高速走行ではもっぱらガソリンエンジンを使い、日常走行では、力の足らない部分をモーターで不足するトルクを補ったりするハイブリッド方式よりも燃費が悪いと推定された。

 

それゆえ,複雑なハイブリッドエンジンが考案され、トヨタやホンダが積極的に展開し成功した。実際にハイブリッド車のカタログ燃費は、同等排気量のガソリン車と比較しおよそ倍ぐらいである。

 

但し実燃費はカタログ燃費よりも極端に悪くなることもあるが、走り出すときに低回転で高トルクを発生するモーターのおかげで乗り味に高級感が出てハイブリッド車は社会に受け入れられた。

 

トヨタやホンダは高級車から大衆車まで競ってハイブリッド車を展開している。タンデム自転車を若者がこぐ模型とそれを年寄りがこぐ模型が作られ、それによりホンダが奮起してレシプロエンジンを改良した話題はニュースになった。

 

しかし、技術の進歩により皮肉なことに日常の運転条件では、ハイブリッドよりも効率が悪いと思われた日産自動車のe-Power方式がシステムとして優れている状態を創り出した。

 

すなわち、日常の運転では、車は必ず一旦停止を繰り返したり、加速しても減速することを強いられる。この時のエネルギー回生技術が進歩し、この技術をうまく組み合わせるとエンジンで発電してモーターを動かすというシステムの非効率性を補うことができるようになった。

 

また、アクセルペダルは、モーターの回転制御すなわち電力調整ペダルだけの役目を果たせば良いので、車が減速し停止するときにレシプロエンジンで使用しているようなブレーキ動作が不要になる。遊園地の自動車のようにアクセルペダルの操作だけで運転が可能になった。

 

それだけではない。ハイブリッドエンジンではレシプロエンジンも走行用に用いるのでその回転数を頻繁に変動する必要があるが、これを発電用だけに使用すれば、最もエネルギー効率の高いところにおける定速運転となるので、日産方式でもそれほど燃費の悪化につながらなかった。

 

その結果、日産ノートは実燃費においてアクアを抜いてしまった。カタログ燃費こそ同じような値だが実燃費ではノートの方が良くなるとの評判である。

 

その結果、技術としては劣っていたはずの日産自動車がうまくPRして消費者に支持されるようになった。おそらく、今後ハイブリッド車よりも日産自動車の方式の車が多数出てくるのかもしれない。

 

例えばマツダのロータリーエンジンは、発電用に特化すれば大変小型化でき、エネルギー効率の良い条件で運転も可能となるので日産自動車の方式に向いている。

 

日産自動車ノートの成功例は、技術をどのようにPRしたら社会に受け入れられるのかという参考になる。科学的に見れば劣勢でも技術として捉えたときに優れておれば良く、そこをうまくPRすればよいのである。

 

面白いのは日産方式でもエンジンとモータを使うのでハイブリッドと呼べるのだが、そこをトヨタと差別化しアピールするためにハイブリッドと呼ばずePOWERと呼んでいる。

 

余談だが、中国蘇州の街中では10年以上前から安っぽい赤色の電気自動車がたくさん走っており、日産方式のどこに先進性があるのか当方には理解できなかった。2ケ月前セールスマンの積極的な売り込みにもかかわらず燃費の悪いターボ車で4駆のジュークをあえて選んだ。

 

ところが驚いたことに冬場の街乗りで平均燃費が9.2km/lで、昔のターボ車のイメージと大きく変わっておりびっくりした。恐らく夏場ならば10km/lを超すだろう。おまけにランサーエボリューションより安いが、トルクベクタリングという凝ったシステムもついている。

 

ePowerノートと同じような値段で、内装はチープだがドアの開け閉めの音やコーナリング時の挙動など高級車に負けていない。デザインも飛んでいる。今最もコストパフォーマンスの好い車はこのジュークとスバルインプレッサだ。インプレッサは一クラス上のレボーグと同等以上の乗り味である。ドアの開閉音は高級車のそれで、内装はスバルとしては頑張っている。

 

「いつかは、クラウンーーー」というCMが昔あり、いつかはクラウンに乗りたいと思っていたが、クラウンの乗り味よりも値段の安いマークXの方がBM*に似ていた。おまけに電子制御のサスペンションがついており、高速走行の気持ちよさは外車のそれである。

 

一方今やクラウンよりも高級なレクサスがトヨタから販売されている。レクサスの高級感は外車以上で何よりも販売店の応対がすごい。思わず車の購入検討にスーツで出かけたくなるような雰囲気だが、ハイブリッド車を進められるとがっくり来る。

 

おまけに動力システムは一世代前のプリウスと同じである。同じホットハッチならばジューク1.6GT fourのほうが、内装は安っぽいがメーター類のデザインも含め運転していて楽しい。今のトヨタは、どこかちぐはぐな感じがする。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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