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2017.04/25 科学的方法の問題(4)

一年間の予定だった防振ゴム用樹脂補強ゴムの開発はたった3ケ月で終わった。しかし、この時のむちゃくちゃな業務の進め方とそれをうまく仕事の中に組み込んだ指導社員の見事なマネジメントで、科学的方法の問題を学ぶことができた。

 

防振ゴム用樹脂補強ゴムの報告書は、粘弾性論を展開した考察の報告書と配合設計に関する報告書の二報が3ケ月という短期間でまとめられた。いずれも科学的に論理が進められ導かれた結論に相当するサンプルの高次構造写真や分析データが載せられていた。

 

それらはあたかも計画的にその研究が進められたかのような書き方がされていた。しかし、その裏側は、KKDあり、実験の手抜きによる効率アップなど科学的というにはお粗末な業務の進め方だった。

 

しかし、指導社員の理論的考察と先行して得られていたサンプルの的確な考察と新たに見つかった設計因子がうまく整合していたので学術論文と言ってもよいレベルに仕上がっていた。

 

但し、報告書において捏造は指導社員からもきつく言われていたのでやらなかった。技術開発で捏造を行うとどこかで自分の首を絞めることになると教えられた。

 

もし理論的に導かれたグラフに合わないデータが得られたら、グラフにのるようなデータが得られるまで実験をするか、合わないデータとして処理をするのかどちらかにするように言われた。

 

この時指導社員は、グラフからデータが外れていても我慢できる人とそうでない人がいるので、という妙なアドバイスもしてくださった。この詳細はここで書きにくいが、これは科学で捏造が生まれる原因でもあり、技術開発における科学的方法の誤った使い方でもある。

 

 

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