2017.04/27 オーディオ商品(3)
オーディオもギターも抽象的な「音の印象」がその商品の価値を決める。それがだめならば消費者に見向きもされないが、その音については科学的な評価技術やシミュレーション技術はほぼ確立されている。
それでもなお科学的に商品の序列をつけることが難しい分野で、価格があたかもその商品の価値を決めているかのようなところがある。また、そのブームの時代に著名になった評論家(60を遙かに超えている)が怪しげな評論をし、それで商品価値の上がっている商品もある。
(価格の高いオーディオ製品が必ずしも良いとは限らない。その逆に価格が安いから価値が低いというわけでもない。10数年使ってきた寝室のアンプが壊れたので、オークションでオンキョーのCDレシーバーを2万円で落札した。デジタルアンプであるがSN比が高く良い音がする。雑誌の評論では高域がきついようなことが書いてあったが、60過ぎの耳には気にならない。3万円のアンプと100万円のアンプの比較というレポートがWEBにあったが、3万円より安くても十分である。ちなみに落札したCDレシーバーにはチューナーはもちろんUSBからの読み込みも可能でiPHONEもつなぐことができる。信じられない多機能である。しかもこれだけついてコンパクトな形状である。一気に寝室のオーディオシステムの断捨離ができた。)
ところでギターは大別するとクラシックギターとフォークギター(今はアコースティックギターと呼ばれたりする)、エレキギターがある。
過去においてクラシックギターはその商品に製作者の名前がつけられているものが好まれると言われていた。例えばアリアクラシックギターであれば、40年以上前製作者名の無いアリアギターと製作者名のつけられた松岡良治ギターの2種が販売されていたが、後者の松岡良治ギターがよく売れたと言われている。また、製作者である松岡良治氏は自身の工房でもギター販売を行っていた。
(松岡良治氏の工房は名古屋に、ヤイリブランドの工場は岐阜に、キャッツアイギターは浜松に、と東海地区は昔ギターの名産地だった。モノ作りの現場であるギター工房の散策は楽しかった)
フォークギターの世界は、井上陽水が使用したことで有名になったS-ヤイリギターが1970年代の日本で本格派ギターブランドと言われた。ドレッドノート本家のマーティンギターよりも日本では人気が高かった。1ドル360円の時代で輸入品よりも国産品の値段が安いことも影響したかもしれない。
しかし、他の日本のギターメーカーがマーチンギターに近い音色であったが、S-ヤイリギターの澄んだ音色は本家のドレッドノートの音色よりも甘美と評判になり松岡良治氏製作のアリアギターと人気を二分した。
これは矢入貞夫氏の手工ギターだが、彼には兄弟がいて弟の矢入和夫氏はK-ヤイリブランドを販売していた。こちらは主に輸出されていた。K-ヤイリが日本でメジャーなブランドになったのはバブル崩壊後である。
また、この兄弟はすでに亡くなり、現在販売されているS-ヤイリギターには昔の音色が無いと言われているが、当方は最近このギターを見かけたことが無い。K-ヤイリギターは弟子が奮闘しブランドの価値を維持している。
楽器店でこの手工品を見かけると材木の質感をうまく活用したデザインで独特のオーラが出ており、いかにもK-ヤイリという存在感を価格とともに放っている。
エレキギターは、ギブソンやフェンダーなど海外勢が強かったがアリアプロⅡがヒットすると国内メーカーのエレキギターもプロギタリストに使われるようになった。
フォークギターもエレキギターも様々なボディーや天神の形が存在するが、いずれも海外商品のフルコピーから開発がスタートしている。すなわち「真似る技術」で発展した典型的な商品である。
そしてシンセサイザーギターを除き、海外で確立された技術が現在もそのまま踏襲されている。ただし、アコースティックギターの世界では目立たない部分に50年間の技術進歩があり、現在生き残っているギターメーカーは独自技術とデザインに特色がある。
そしてmade in JAPANブランドとして世界でも評価されているらしい。ただしそれらの技術の大半は、音のシミュレーションが可能であるにもかかわらず、試行錯誤の成果であると某ギターメーカーの製作家に教えて頂いた。
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