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2017.04/28 科学的方法の問題(6)

科学的方法で完璧に論理展開できるのは否定証明だけ、といったのは哲学者イムレラカトシュである。科学的方法で新しいモノを創ったという裏側の多くは、先日までの樹脂補強ゴム体験事例で書いたような状況だろう。

 

例えばiPS細胞発見につながった山中博士の最初のご研究もKKDの賜物と言ってもよい(ちょっと失礼か?)、と捉えている。

 

山中博士はノーベル賞受賞後にどのようにヤマナカファクターを見出したのか語っておられるが、最初の論文を発表するときにエディターからそれを求められても特許の内容にかかわることだから、と「ごまかしていた」そうだ。

 

分析や解析には科学的方法が最適であるが、モノを創り出すときに科学的方法だけではうまくいかないケースが多い。先日書いた防振ゴムの事例では、科学的に進められた事例として無理矢理説明するならば、「KKDで創りだしたサンプルを解析的に研究した仕事の進め方」ともいえる。

 

この開発において、もし樹脂が島でゴムが海の材料しか得られていなかったならば、樹脂とゴムの組み合わせでは防振ゴムに適した配合設計ができないという結論になっていたかもしれない。この流れは否定証明である。

 

モノができないことの科学的証明は易しい。どうしてできないのかを示し、できない証拠である実験結果を示せばよいだけである。ゴム会社を去る原因となった電気粘性流体の増粘問題では、会社を去る間際にこの否定証明として優れた論文を読む機会に恵まれた。

 

科学的プロセスこそ新技術開発の王道と信じている人には、当方の問題解決プロセスを許せないのかもしれない。しかし、科学はあくまでも哲学の一種で、技術開発の道具としてうまく使うべきである。

 

科学に忠実なプロセスは一つの真理を約束してくれるかもしれないが、ロバストの高い機能を実現する方法は、科学的方法が全てではなく「何でもあり」と柔軟に捉えると効率のよい技術開発を進めることが可能となる。

カテゴリー : 一般

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