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2017.05/19 科学が無くても技術は生まれる(2)

特公昭35-6616には、細かいノウハウが書かれていない。そのため、この実施例を再現できなかったときに、その原因がパーコレーション転移のためなのか、酸化スズゾル粒子の導電性に依存するのかどうか不明である。

 

一方で高純度酸化スズ結晶は絶縁体である、という科学の真理が明らかにされているときに、非晶質酸化スズも絶縁体である、という推定はだれでも信用してしまう(昨日の繰り返しです)。

 

しかし、非晶質体の科学について未だに完成していない現実を直視し、金属酸化物では酸素欠陥が生じ導電性が発現するという20世紀にほぼ科学的に完成した固体物理の知識があれば、非晶質酸化スズの導電機構に「科学的興味」がわき、実施例の再現を「現代の技術者」(注)ならば本能的に是が非でも行おうとするだろう。

 

ならば、知識さえ豊富にあれば、科学のプロセスで技術開発を行っても不用意に否定証明へ走ってしまう危険は無くなるのか?

 

ちなみに電気粘性流体の否定証明では、K大学から博士の学位を取得した人材やK大と肩を並べるT大、H大の大学院を修了した少なくとも偏差値レベルで見る限りは凡人ではなく知識豊富なスタッフが中心となって業務を進めている。

 

また、STAP細胞の否定証明は理研という世界的に有名な研究所で行われ、その研究所からSTAP細胞は存在しないと研究成果が発表された後にドイツからSTAP現象の存在を示す研究報告書が発表されている。

 

さらに植物の細胞ではSTAP現象が起きると学会内で認められているにもかかわらず、動物でその現象が起きない理由が未だに科学で未解明である。動物では「現象が起きにくい」だけの場合には、否定証明を展開したほうが科学で確実に論文を書くことが可能になる。

 

これらの事例から知識が豊富にあったとしても、できないという先入観で仮説を立てたなら否定証明に陥るので、これは知識の量で左右されるわけではない。

 

一方、子供のように全く無知で好奇心旺盛であれば否定証明に走るリスクは小さくなると言われたりする。これを支持するかのように未熟な科学者と評価された人がSTAP細胞を発見している。未熟な科学者は実験ノートも満足に書けず、論文もコピペをするような感覚なので、研究の進め方も尋常な方法でなかった可能性がある。

 

実は、モノ造りには科学のプロセスよりも、ヒューマンプロセスとよばれる技術開発に適したプロセスが存在する。それは科学が生まれる何千年も前から人類が行ってきたプロセスである。(明日に続く)

 

(注)企業には、科学者も技術者も混在している。20世紀にメーカーにおいて科学者は重要だったが、21世紀は技術者が主役になる。この点は後日述べる。当方は、研究という職に憧れ科学者を目指しながら、新入社員時代に幸運なことに真正面からそれを否定される体験をして、科学と技術について悩み、研究開発活動を続けてきた。部下には博士を育てたように科学的方法を求めつつ、自らは技術とは何かを追求してきた。その結果、アイデアマンという称号も一部からいただいたが、科学的方法に忠実になるとアイデアを出しにくくなると感じていた。ところが技術的方法には自然とアイデアを出す仕組みがあると気がつき、研究開発必勝法をまとめている。科学について小学校から学び、科学の重要性が叫ばれる日本であるが、人間の営みとして本能のように行われてきた技術を見直した方がよい。自然の中で「生きる本能」の一つとしてモノ造りがあり、その能力は猿にも見つかっている。人間はそれを駆使して、より便利な方法として科学を生み出したのか、あるいはただ、「自然を考える方法」として科学を生み出したのか、曖昧である。当方は後者に過ぎないと思っている。

カテゴリー : 一般

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