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2017.05/29 仮説で排除されたアイデア(7)

自動酸素指数測定装置を手動で操作できるように改良した成果は、改善提案賞を受賞した。この時素直に喜べず、何か奇妙な気持ちだったが、市販されていた手動の酸素指数測定装置よりも精度が高いところが評価された、と説明を受けた。

 

自動酸素指数測定装置が無駄な装置だったとか、新たに手動の設備導入を検討していたとか、といった負の情報は一切語られることはなかった。優れた設備をさらに改良した、というポジティブな評価となっていた。

 

確かに、一般の測定装置では計測できない柔らかい発泡体でも測定できたり、誤差を最小にできる仕掛けなど工夫をしていた。すなわち、ただ制御部分をはずしただけの改造ではないので受賞基準を十分に満たしていた。

 

しかし、一番うれしかったのは、始末書を書かされたり、実験中に「科学的に仕事を進めるように」とか、楽しく仕事をしていると「趣味で仕事をやるな」などと叱責ばかりしていた上司が、当方を推薦してくださったことである。

 

ところで、この自動酸素指数測定装置を開発したS社の人物は、優れた科学者だった可能性がある。まだマイコン制御など高価でこのような設備に使用できない時代に、単純なON-OFF制御だけで高精度の値を出せる評価装置に仕上げていた。特定の試料を測定するだけであれば、当時の科学力を駆使した優れた設備という評価ができ、設備担当者が購入判断した動機を理解できた。

 

しかし、プラスチックの難燃性評価試験器というカテゴリーでこの装置を眺めると、がらくたに等しい。このような、それだけを捉えると科学技術の塊のような設備であっても、おもちゃとなるような製品が身の回りに存在する。

 

完璧に動作しない自動車の自動ブレーキもその一例で、ニュースで事件が報じられる前に、自動ブレーキ付ジュークを購入し後悔している。トルクベクタリングもついた高性能車で、乗り心地等は問題ないのだが、オプションをいろいろつけたら、自動ブレーキをオプションでもつけられない高価格車ジュークニスモとほとんど値段が変わらなかった。

 

値段はほとんど同じだが、ジュークニスモの方が高価に見える。役に立たない自動ブレーキがついて、4駆であることを示すエンブレムも小さくて、下位グレードの車と見間違えるような商品を購入し、複雑な気持ちで車を運転している。

 

購入時には営業担当から単眼カメラで測距している優れた技術だと説明を受けたが、信頼性の低い安全装置は科学的に優れていても、技術としては欠陥品である。

 

(車の自動ブレーキの測距法)

障害物の検知ではレーダーが天候に左右されないのでもっともすぐれている、と言われており、トヨタはレーダーと単眼カメラの組み合わせで自動ブレーキを制御している。最近はCCDやC-MOSなどの画像センサーの感度が上がり、これを二つ組み合わせて人間の目のごとく使用しているのはスバルのアイサイトで、すでに追突防止に実績が出ている。画像センサー一つで測距する方法は特許を読めば書かれており、CPUの演算速度が速くなったので、これがうまく機能すれば最もコストの安い方法である。

 

 

カテゴリー : 一般

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