2017.06/14 先日の東名事故
先日東名で起きた車が中央分離帯から飛び出した大事故について、事故状況の解析が進んだ。運転者は通常のスピードで走行していた、と報じられている。そして不慣れの代車のため起きた事故、という結論が解説されていた。
当方はこの事故で二つの大きな問題が社会に示されている、と思った。一つは中央分離帯の安全設計の問題と、もう一つは車の特性についてそのばらつきが大きいことである。前者は、他の識者も指摘されているので、誰も指摘されていない後者の問題について、車が大衆の商品という観点で私見をのべたい。
これまで乗り継いだ車で最も高価だったのは、セリカとプレリュードXXで、反対に低価格な車はキューブで、これは安いにもかかわらず娘の好みのデザインという理由で選び14年も乗り続けた。車の性能は最も劣ったが愛車として最高の車だった。
その他2車種あるが、セリカとプレリュードXX、キューブの3車種はその運転特性が大きく異なる。FRとFFの違い以外に、安心して運転できる車の上限速度も異なる。例えばセリカはAkm/hまで速度を出しても安心して運転できたが、キューブは100km/hあたりから少し不安になる。プレリュードXXで出せたBkm/h(注)まで十分にキューブでもスピードは出るが、冷や汗も出てくる。
この安心して運転できるスピードの違い以外に、カーブでの特性が大きく異なった。セリカは、高速で少しオーバーステア気味になるがたいへん素直な特性だった。しかし、プレリュードXXもキューブも高速でアンダーステアの傾向が大きく出た。タイヤはいずれもブリヂストンで十分な性能だったから車の特性といってよい。FRからFFに乗り換えたために強く印象に残っているのがプレリュードXXのアンダーステア気味の特性である。
カーブに入る手前でエンジンブレーキによる減速を行わないと怖くて高速道路で曲がることができなかった。キューブではあまりスピードを出さなかったこともあり、軽くブレーキングするずぼらな運転でもカーブで恐怖感を味わったことが無かった。
車種により大きく運転特性が異なる問題は、車が大衆商品であることを考えるとおかしいと思う。メーカーは高級車がより安全に設計されている、と主張するが、走る、曲がる、止まるという車の基本機能について、どの車でも同じ特性に規格化すべきではないか。
少なくとも400万円未満の車では、もう基本機能で差別化すべき時代ではない。車がぜいたく品である時代は既に過ぎて、生活必需品になっているケースもある。どの車に乗っても同じ基本機能であったなら、今回の車の事故を防げた可能性がある。なぜなら事故原因が、車の特性の大きな差異を運転技術で吸収出来なかった点にあるからだ。
今乗っているジュークはFFとAWに切り替えが可能で、AWでは、トルクベクタリングの有無も選択可能である。高速道路で安心して運転できるのは、ハンドルに応答し思い通りの車線を走ることが可能なトルクベクタリング付のAWだが、一人で車に乗るときには、あえてFFに設定して乗っている。これは、他の車に乗ったときに車の特性の違いで慌てないためである。
車の運転特性を切り替え可能な車に乗ってみて、この車の運転特性の差異が安全運転を推進するときに大きな問題であることに気が付いた。車の運転特性の差を吸収できる運転技術があれば問題なくなるが、仮に運転技術があったとしても高級車の運転特性に慣れ親しんだ人が、突然安い車に乗ると戸惑うはずだ。
これは、今自動運転技術が車に普及しようとしている時代で、車の運転特性以外に、自動運転に近い技術が導入された車に慣れた運転手がそうでない車を運転したときに生ずる問題もある。このような車の高性能化について何らかの対策を取らないと、運転者の責任が指数関数的に重くなることを指摘したい。
一度高級車に乗ったならば、安い車の運転をしないとか、安い車を永遠に乗り続けるとかしないと今回の事故が再発する可能性がある。ちなみに、ジュークは1.5lと1.6l四駆では、その性能差が極めて大きく購入前の試乗でびっくりした。四駆では、リアのサスが高級車同様のマルチリンクで設計されており、これが大変良い出来あがりである。
1.5lジュークも14年乗り続けたキューブよりも乗り味の高級感が伝わってくるが、1.6l四駆は全くの別物ととらえたほうがよい。よく1.6lが試乗車として使われているが、もし1.5lを購入予定なら1.5lを試乗されることをお勧めする。しかし1.5lでも十分足の硬いベゼルよりも良い印象を持てる。
また値段を考えるとC-HRとよい勝負をしている。このクラスで1.6l四駆の車の性能は別格(安いレクサスを車の性能で十分に超えている)であり、これで内装がよければハリアーを超えるバーゲンセールの車ではないかと思う。同じメーカーのエクストレイルとの比較では、荷物を積める便利さを除くと車格が上のエクストレイルがその性能で完全に負けている。
(注)モデルチェンジ2世代目のプレリュードXXは、モテ車として一世を風靡した車であったが、その見かけによらず、平地で最高スピードはセリカよりも遅かった。アクセルを目いっぱい踏んでも怖くなるほどのスピードまで上がらないのだ。見掛け倒しの車だった。
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