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2017.07/27 アブラミの指数(1)

Avramiをアブラミと書くと、脂身を連想し、お腹のあたりを気にする人もいるかもしれないが、結晶成長の速度論の話である。このアブラミの指数については、無機材料の場合と高分子では、その意味が少し異なっているが、高分子のアブラミの指数は少し怪しい、と感じている。

 

そもそも速度論なる学問を大学で初めて学んだときにその体系をたいへん怪しく感じた。ゆえに教養部の速度論の授業では疑問だらけであった。しかし、学位ではSiCの結晶成長の速度論に半分割いている。そこで展開しているのはアブラミの指数から考察した結晶成長機構である。

 

過去の速度式との関係を示すために多くの文献にあたりまとめたが、2000万円かけて手作りした超高温熱重量分析装置で収集したデータの精度が高く、きれいにアブラミの指数が求まった。速度論の解析は過去の結果を参考にするのでコピペをしたくなるが、学位論文を日本語で書くように言われたのでコピペができなかった。

 

余談になるが、この時論文は英語で書いたほうが書きやすいとつくづく感じた。日本語の難しさは、文章を推敲しなければいけない点にある。英語でも推敲が必要だが、英語の場合には躊躇なく英借分となるので楽である。稚拙な英文となっても恥ずかしさはあまりないが、日本語は自分で自分の書いた文を読みながら赤面することになる。

 

学位論文でコピペが横行するのも、おそらくこのような背景があるかもしれない。英文ならコピペをしても、日本人に気づかれないので後ろめたさは少ないが、日本語はすぐにばれそうだ。

 

さて、アブラミの指数だが、無機材料では、界面律速成長と拡散律速成長に分けて扱う。そして結晶成長の次元ごとに過去の知見からそれぞれの指数が求められている。

 

換言すると、結晶成長過程をモニターして集められたデータを速度論で解析し、アブラミの指数が求まると、結晶成長機構が明らかになる。

 

アブラミの指数の意義は過去の既知となった無機結晶の成長機構との対比で未知の結晶の成長機構を帰納的に示すことができる点にある。そして注意しなければいけないのは、指数から未知の結晶の成長機構が求められたからといって、それが真とは限らないことである。

カテゴリー : 高分子

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