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2017.07/31 アブラミの指数(5)

実務では融体からの結晶化に遭遇する場面が多いと思う。そこで見られるのは球晶が大半でラメラ晶は特別な場合である。しかし、結晶成長の初期にはラメラ晶が現れるので球晶との関係がつかみにくい。

 

ラメラ晶が球晶へ成長するモデルとして

1.ラメラ晶が円板状に成長し、上下方向へ積層して球晶へ成長。

2.ラメラ晶が円錐状に積層化

(1)傾きは一定

(2)円錐の頂点が球晶の中心

などが考えられ、異なる速度式になりそうだ、と想像される。

 

一方高分子の結晶成長機構が無機材料のそれと大きく異なるのは、このラメラから球晶へ成長する機構以外に、結晶核の形成機構がある。

 

無機材料では、観察することもできない核の存在を仮定しているが、高分子では分子1本が折れ曲がり塊になっている構造を核として想定している。それはすでにラメラ晶まで成長しているかもしれないが、その段階の核生成について無機材料では極めて速くその後の結晶成長機構が速度式に反映されることになるが、高分子結晶成長モデルではそれなりの速度でこの段階が観察されるようだ。

 

ようだ、と書いたのは、自分で解析したことがないからだ。実はこの結晶成長モデルについて結晶核の形成機構と結晶成長の二段階に分けて考えるが速度論を議論するときにはあたかも区別しないように扱う当たりが、当方には気持ち悪く感じる部分である。

 

無機では、結晶の核の存在は仮定するが、それを見ることはできないとし、核が発生するや否や結晶成長が始まるとしているが、高分子では結晶の核の成長過程までも相変化現象としてモニターするような前提となっている。そしてこの段階を一次核形成(primary nucleation)と呼ぶ。

 

そしてこの一次核上に二次核が形成されてさらに結晶成長が進行するが、一次核については、均一核形成と不均一核形成過程がある。

 

しかるにアブラミの指数を求める時には、二次核形成過程も含めて全結晶化速度として扱い、その相変化量は、球晶が占める体積の割合に基づく結晶化量Xで近似している。

 

カテゴリー : 高分子

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