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2017.08/04 PPSとPET(3)

PPSとPETの違いはブツの量だけではなかった。PPSの結晶成長速度がものすごく早いのだ。ダイから出てきた融体をサイジングダイで冷却しているのだが、金属音が鳴り響いている。

 

すなわち急冷していても球晶が成長している。だからプロセス条件が少し変わるとベルトの靱性が大きく変動する。

 

例えば材料の靱性を測定するのにMIT試験をおこなうのだが、この値が1000未満から3000程度までばらつく。これを3000程度になるよう工程管理しており、大変な作業だった。

 

ところでMIT試験とは、フィルムを繰り返し折り曲げてそれが切断したときの回数をそのまま靱性の尺度とする試験である。靱性の高いPETフィルムでは10000回を超える。

 

3000前後は動的部品にかろうじて使用できる値だった。2000前後になると動的部品として使用できないレベルとなる。すなわちぎりぎりの規格値で試作されていた。

 

このようにPPSは脆い材料として知られたエンジニアリングプラスチックであるが、フィラーと複合化させた射出成形体が主たる用途だった。その材料を電子写真用ベルトとして写真会社が初めて実用化している。

カテゴリー : 高分子

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