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2017.08/05 PPSとPET(4)

PPSの結晶化速度は、想像していたよりも早かった。GPCによる分子量分布はいびつな形をしていた。PETで見慣れた分布ではない。

 

PPSには、大別すると古くから開発されている架橋タイプと呼ばれる部分的に酸素で架橋された構造のPPSと、リニアタイプと呼ばれる構造のPPSが存在する。

 

前者の分子量は後者よりも低いため、押出成形に用いることができないと書かれていたりするが、ブツを気にしなければフィルム化も一応できる銘柄が存在する。押出成形に適した材料は後者で前者よりも分子量が高いと言われている。

 

東ソーは前者だけを製造し、その品ぞろえには定評があるので、架橋タイプを検討したいときには便利な会社である。クレハは後者だけを製造しており、ポリプラスチックスから販売されている。DIC、東レの2社は両者を製造しているが、このようにPPSの市場は寡占状態に近く高値で価格が維持されている。

 

興味深いのは、リニアタイプと称されれているPPSを押出成形してみると、成形条件やブツの発生の仕方が各社の製品で異なっている。どのように異なっているのかは書きにくいが、恐らく合成方法や条件が異なるためだろう。

 

よくいわれるように高分子は製造の履歴が反映される困った材料である。氏素性の優れたPPSが、必ずしも良いわけではないが、市場の占有率はこの10年、ほとんど動いていない。

 

 

このあたりは、汎用樹脂であるPETと大きく異なるところである。ただし、カオス混合により6ナイロンやその他を相溶するとその差は小さくなる。PPSは少し個性の強いエンプラでありCDも含めPPSにご興味のある方はお問い合わせください。

カテゴリー : 高分子

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