2017.08/20 セラミックスの焼結に関する論争
20世紀末に起きたセラミックスフィーバーの最中にセラミックスの焼結理論に関する論争があった。
これが最終的にどうなったか知らないが、本屋で発売されている教科書を見たところ新しい理論の説明が無いので、結局多くの研究者は新しい理論の意味を理解できなかったのだろう。
新しい焼結理論の視点は、物質の変化を取り扱う当たり前のことだった。すなわち、自由エネルギーの視点から焼結理論を論じていたのだ。
熱力学的平衡で物質の変化の方向を論じたりする時にも自由エネルギーが使われたりするので当たり前の考え方に見えたのだが、旧来のセラミックス研究者から総すかんをくらったようだ。
岡目八目ではないが、古い理論は材料科学全体を見渡したときに、理論になっていない。いわゆる現象の説明である。ただ、それをセラミックス協会誌で唯一無二の理論のような説明をされていた先生がおられた。
学問の進歩のために重要な議論だったはずだが、結局新しい理論は当時著名なその先生により速度論としてかたづけられたようだ。中身は自由エネルギーの理論であったが。
古くからある科学の理論がすべて正しいとは限らないし、それを実務に適用しようとしたときに適切でないこともある。実務では必ずしも熱力学的平衡に到達している場面ばかりでは無いからだ。
一方非平衡状態を学問で論じることは難しい。どうしても現象の説明となってしまう。セラミックスという学問は未だにこのような状態のようだ。高分子物理は今研究者が必死で研究中なので、セラミックスより健全な学問に思われる。
カテゴリー : 一般
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