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2017.09/17 温故知新(2)

PPS・6ナイロンポリマーアロイを押出成形して製造される中間転写ベルトは、カオス混合で製造されたコンパウンドを用いている。このカオス混合装置は餅つきをヒントにした温故知新技術である。

 

餅つきを経験すると不思議な現象にでくわす。例えば食紅を餅のつき始めに添加すると、あっという間に餅が着色される。この着色の様子は子供の頃から不思議だった。

 

親は当たり前だ、と言っていたが、当たり前に見えなかった。カオス混合装置を発案したときには、工場の現場で部下のマネージャーから、現場の騒音の変化は当たり前だ、と言われた。ところが、騒音の原因についてすぐにアイデアを確認している。

 

何か自分の経験と異なり、不思議とか奇妙に感じた現象について、「当たり前」という言葉が出たら、その当たり前の現象を疑った方がよい。あるいは、科学的に奇妙であるが、古くから何気なしに行われてきた習慣については時に思い切って変更したり、辞めてみることは大切である。また、古い技術であっても、それを新たな科学の視点で見直しを進めることも重要である。

 

当たり前のこと、あるいは過去に存在していた技術をどのようにしたら温故知新で新しい技術に展開できるのか。これは難しいことではない。その機能に新しいノイズを与えれば良い。例えば、古い商品を新市場に投入しても新しいノイズを機能に与えたことになる。これも技術開発の手法である。科学的ではないかもしれないがーーー

 

中間転写ベルトの開発では、6年間行われてきた開発スタイルを変更し、半年で歩留まりを5倍以上改善した。それは、樹脂開発では当たり前のスタイルだったが、ゴム材料開発では奇妙なスタイルだった。

カテゴリー : 一般

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