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2017.09/20 科学の活用方法(1)

技術の方法なり哲学は、科学誕生前から存在した。例えばエジプトのピラミッドが高度の技術の賜物であることはすでに解明されている。また歴史の遺物を見ると、技術開発の方法が、「作りたいもの」あるいは「欲しいもの」を追求した結果であることがわかる。すなわち、先日書いたように「結論からお迎え」方式である。

 

これに対して科学では「仮説設定」から入り、その仮説が真であるかどうかを確認するための実験からスタートし、真となったものを積み上げ完成する、前向きの推論形式である。

 

ゴム会社に入社したときに多くの人から「科学ではモノを造れない」と言われた。また新入社員実習では多変量解析を駆使し世界中のタイヤの構造解析を行い、そこからタイヤの性能を維持しながら軽量化因子を見出して設計したタイヤを誇らしげに見せながらプレゼンテーションを行ったら、CTOだった故S専務に「そこにあるのはタイヤではない」と一喝された。

 

これは大学を卒業したばかりで、将来は企業の研究成果で学位を取ろうと燃えていた当方にとって大きなカルチャーショックだった。同期で同様のカルチャーショックを受けて、配属の日である10月1日に転職し、転職した会社の社長を務めている人物がいるが、当方は故S専務の言葉を考え続けてきた。

 

ゴム会社は、故S専務の哲学による文化とアカデミアにそっくりの文化が共存していた会社で、当方の配属先は後者の研究所だった。居心地の悪さを感じつつ、12年間勤務し、技術の方法と科学の方法を駆使して高純度SiCの事業を立ち上げた。その間に故S専務の哲学がモノ造りでは重要で、科学の方法でモノ造りをするにはやはり問題があるという結論に至った。

 

だからと言って科学を否定しているのではない。科学には役割があり、それをうまく使いこなすことでモノ造りのスピードアップと開発された技術の再利用を容易にする。

カテゴリー : 一般

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