2017.09/27 アジャイル開発と産学連携(2)
学会の研究発表会に一人の技術者が有効と感じる技術シーズがどのくらい発表されているのか、というと例えば高分子学会や日本化学会では研究発表の1%-2%程度あるのではないかと個人の経験から感じている。
100分率で示すと拍子抜けする人がいるかもしれないが、発表件数の母数が大きいのでこれは大変なことなのだ。例えば今年の高分子学会年会では、64件ほど新しい技術ネタを仕入れることができた。
テーマだけ見ていると何に役立つか分からない研究もあるが、実験テクニックやその他に着目すると専門分野の学会であっても必ず数十件は技術に使えそうなネタが存在する、と思う。
「今でしょ」は昨今のはやり言葉だが、「今役立たなくても」将来役立ちそうな技術ネタが含まれている。今年の年会では当方の仕事に「今役立つ」内容は、0だったが、幾つか企画している未来技術のシーズには使えそうなアイデアが数十件あった。
昨年と重複している内容もかなりの数あるが、技術として活用していないので今年の数に含めている。このようなデータベースを用意しておくと、予想外のクライアントの相談が飛び込んできても困らない。
これをメーカーにあてはめれば、基盤技術など無い分野でもアジャイル開発ができることになる。当然のことだが、世の中に全く存在しない技術を必要とする製品についてアジャイル開発は不可能である。
写真会社で樹脂の混練プラントをたった半年で立ち上げたが、基盤技術が存在したわけではない。ゴム会社で半導体用高純度SiCの事業を立ち上げたときも基盤技術などなかった。当時の無機材質研究所には大変お世話になった。
35年前たった4日で2億4千万円の先行投資を引き出す高純度SiC粉体(事業のエンジン部分)ができあがっている。ただしこの技術では、当時存在しなかった有機高分子と無機高分子の相溶技術について廃棄物処理作業を担当したときに、その作業をやりながら技術手法で創り出している。
カテゴリー : 一般
pagetop