2017.10/06 小池都知事の政治手法
小池都知事の政治手法に対する批判が目立つ。選挙の影響かもしれないが、確かにこれまでの日本の政治家と異なる手法であることは確かである。政治手法はともかく、問題はご本人がどこまで未来に対して明確なビジョンを持っているかにある。
築地問題を見る限り、この具体的な夢を描く力よりも政治運営能力の高さだけが目立ったので希望の党に対する不安がでてきた。これは会社の仕事で例えれば、自分でビジョンや解決策を持っていないのにリーダーシップをとろうとする管理職に似ている。
もっとも各会社における管理職の業務、すなわちミッションは異なるので、自分で具体的な問題解決策を持っている必要が無くてもマネジメントさえできればよい、とされるかもしれない。しかし、そのような場合でもミッションを遂行した結果であるゴールについては、具体的イメージを持っていてもらわねば、その下で働くメンバーは苦労する。
すなわち、このような場合では上司が持つべきゴールイメージを部下が作ることになり、それを上司に提案しなければならない業務が発生するのである。このとき上司に具体的イメージあるいはゴールいわゆる落としどころの覚悟ができていないと部下は迷走することになる。
築地問題では、一応答えを出したが、その答えが結局前任者と同じ結果だったので批判が出てくる原因となっている。ただし、ここで出ている批判の多くは正しくない。結論を出せなかったような批判だからである。
前任者と同じ結論を出した結果、予算が膨らむことになったが、盛土の問題や未だ抱えている環境問題、都職員の仕事の進め方など築地移転に伴う都政に隠れていた多くの問題が見える化された。
都民ファーストの会という名前の意味通り、こうした多くの問題に対して都民が回答を出さなければいけない状況が創り出されたのだ。これはあたかも具体的なゴールイメージを持たない上司の仕事のやり方と同じである。
ただ、会社の業務と異なるのは、民主主義という政治システムでは、このようなやり方が許される。希望の党のマニフェスト及び公認候補の選出は大変わかりやすいが、問題は「それによって」日本の具体的な未来像が見えてこないところが批判の種になっている。
築地移転同様に国民の責任で具体的な未来を考えなければならない。ところで自民党政権により具体的な日本の未来が示されていてもアンケート結果に表れる支持率は上がらない。支持率を気にして未来に向けて思い切った改革を行わない場合にはポピュリズムに流された、と批判される。政治の世界は難しい。
希望の党はポピュリズムよりも問題がある。得票数を目標にアジャイル開発しているからだ。具体的な未来が示されないまま、安倍政権より良さそうに見せるマジックにかからないように慎重に候補者選びをしなければいけない。
カテゴリー : 一般
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