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2017.10/27 科学の世界における誤解(2)

様々な樹脂の物性がWEBを探すと出てくる。樹脂の成形体の商品を企画するときに、樹脂のカタログをまず探すが、カタログには簡単な樹脂物性しか出ていない。

 

同じ材質で、同じ力学物性のペレットを異なるコンパウンドメーカーから購入して成形体を製造したときに、同じ物性の成形体ができる、と思っていないか。科学的には同じものができてくれなければ困ったことだが。

 

しかし、ISOに準拠して全く同じ条件で計測されたデータが示されていたとしても、メーカーが異なるコンパウンドを用いて射出成型をしたときに、たとえ射出成形条件までそろえたとしても同じ力学物性の成形体ができない可能性がある点が、樹脂やゴムなどの高分子材料の世界である。またセラミックス材料も同様である。

 

だからベテランはそれぞれの平均値を比較して、その平均値に多少の差が現れても、ほぼ同じとして処理するが、業務に慣れていないと慌てて騒いだりする。ときにはベテランの事務処理を等しくないものを同じレベルと処理したデータについて捏造と密告したりするかもしれない。

 

高分子材料やセラミックス材料の成形体を製造する時に、ばらつきを0にすることは不可能である。この材料のばらつきをどのようにコントロールしているのか、これはメーカーのノウハウである。もちろん捏造はあってはならないが、どの程度の許容差を認めるのかは伝えられないときもある。

 

以前樹脂ペレット一粒の密度を50個測定したことがある。密度が大きくばらついている製品とばらつきの小さい製品では、小さい製品のほうが力学物性で良い結果が得られそうに思われたが、そのようにならない場合があったのでこれら材料の問題は複雑と思っている。

カテゴリー : 一般

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