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2017.11/08 (フィラーを用いた高分子の機能化)科学の世界における誤解(14)

高分子の結晶や非晶の性質などを考えていて、高分子の流動性を制御するアイデアを思いついた。これは、フィラーを高充填した熱伝導樹脂の問題にも活かせるはずだ。

 

フィラーを添加して熱伝導樹脂にする技術は、成形性を考慮し既存技術の範囲で問題解決するとそのフィラーの充填率に限界が出てくる。また、その限界の中で熱伝導率の高いフィラーの特徴を活かすことができない。

 

公知のように熱伝導樹脂では、充填率を50vol%以上にするとフィラーの熱伝導率の効果が少し出てくる。さらに充填率をあげてフィラーの熱伝導率を活用するにはフィラーの粒径分布をデザインしなければいけない。

 

ここまでは20世紀の形式知の範囲で問題解決できる。しかし、このような高充填率では、熱伝導樹脂の流動性が損なわれる。この問題の解決方法について形式知だけでは問題解決できない。非科学的な経験知が重要になってくる。

 

電気粘性流体の増粘問題は、その解決法を上司や他のメンバーに忖度して形式知の範囲で科学的に説明している。しかし、女神が確かにほほえんでくれた。残念ながらその微笑みはカーボンで汚れた微笑みのためあまりきれいではなかった。

 

その時はきれいではなかったが、大切にしてきたところ、昨年女神の顔が美しくなり、新たな材料の開発に成功した。この発明は瞬間芸的に生まれている。当方の発明では女神との交際期間が長くなるので、このような瞬間に生まれる場合が多い。

 

新たな開発成果は、高分子の流動性を著しく改善する技術である。現在の所、実施例は少ないが、用途が広がれば新たな形式知を生み出す発明になるかもしれない。このようにフィラーを用いた高分子の機能化ではフィラーよりも高分子の技術が重要になってくる。

 

既存材料の熱伝導率については20世紀に測定されている。現在進歩が遅れているのは高分子物理の世界で、金属材料やセラミックスでは形式知の体系が固まっているが、高分子についてはいまその階層構造の認識が実務に広がり始めた段階である。

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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