2017.12/03 高分子の難燃化技術(1)
高分子の難燃化技術について少し連載として書いてみたい。本技術開発を初めて担当したのはゴム会社に入社して1年も満たない入社翌年の1月である。
前年度の10月1日に配属された部署で、1年間の担当予定だったテーマ「樹脂補強ゴムによる防振ゴム設計」を3ケ月で仕上げてしまったからだ。所属部署の上長から人事異動時にそのような説明を受けた。
異動先である高分子合成研究室は、ダンフレームBという防火性硬質ポリウレタンフォームの商品化に成功して勢いのある状態で、軟質ポリウレタンフォームの難燃化研究をスタートするために人員補強した、と説明を受けた。
それではその期待に応えようと、異動翌日ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの企画アイデアを新しい指導社員である美人の女性上司(30歳)に話した。「簡単にできるの?」と質問されて、思わず「半年で何とかなります」、と答えたように記憶している。
チームリーダーに相当する方が無理をしなくて良いと言われたが、新入社員発表会に間に合うなら面白いのでは、という女性上司の一言で詳しい企画を作成することになった。
原料のホスファゼンは、先端材料で市販されていなかったが、大学院修了後就職するまでの1ケ月間に無料奉仕で大量合成した材料をアルバイト代として先生から1kgほどもらった記念品を使うことにした。これが間違いの始まりだったが、社会人1年目でやる気に燃えていた当方は前に進むこと以外考えていなかった。
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