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2017.12/29 貴乃花親方の処分

昨日貴乃花親方の処分が日本相撲協会の全会一致で下された。「理事解任」という厳しい処分で、被害者の親方と加害者の親方が同じ処分という奇妙な処分であるが、処分理由は組織の論理に則ったものだった。

 

相撲協会が今回の暴力事件を隠蔽化しようとしていたのは、先場所における加害者である横綱が平然と相撲を取っていた事実から自明であり、これは今回の問題を考えるときに重要な事実であり相撲協会全体が猛省しなければいけない。

 

また品格の低い横綱を許しているのも、あるいは一部週刊誌が報じた新たな八百長問題も貴乃花親方の行動を隠れ蓑にうやむやにしようとしている姿が今回の処分から見えてくる。

 

原因と結果を見る限り何らかの処分は仕方が無いにしても、貴乃花親方の無言の訴えを取り上げようとしなかった相撲協会は、今後も闇を抱えたままになった。健全な組織ならば、この様な場合に大岡裁きのような結末にしただろう。

 

組織がその組織で決めたルールに則り、厳格に運用されるのは当然である。しかし、組織を動かしているのが人間である限り、その厳格さが組織の命取りとなる場合がある。すなわち、人間の誠実な行動を保証できる完璧なルールなど決めることができないからである。

 

逆に不誠実な人間がルールを悪用する場合すら起こりうる。今回の相撲協会の対応でそれがあからさまに出た。すなわち貴乃花親方が理事として組織に協力していないという情景がマスコミに幾度となく登場している。

 

FAXでも構わない一枚の書類を複数の協会の人間が親方の自宅にわざわざ届けるという滑稽なパフォーマンスまで相撲協会はやっている。大きな元関取が集団で親方の家に行けば、秘密の行動であったとしても衆目の注目を集めるのは避けられない。その目的が丸見えのパフォーマンスであり、それら協会の行動がなされたうえでの今回の処分であることを国民は理解しなければいけない。

 

危機管理委員会の存在には「?」がつく。国民はこのような判断を通して、それぞれの役割を演じている人たちの人格を学んでゆく。肩書が立派でも、どうしようもない人がいるのだ。

 

組織というものは哀れである。内部に潜む癌を正そうという動きがあったとしても組織を運営している人物が不誠実であれば、その組織は崩壊への道を歩んでしまう。かつてのオリンパスや今の東芝、そして相撲協会の状況は、ドラッカーがその著書で誠実な人間をリーダーに据える重要性を訴えていたことを改めて想起させる。来年1月4日の評議員会が健全な見解を述べるのか、その存在をお飾りとするような見解を述べるのか、どちらだろうか。委員長は池坊さんである。

 

(注)貴乃花親方の行動は、誠実ではあるが大人げない。このような人物を指導したり助ける役割の人物がいない組織の問題も考えなければいけない。ドラマ「半沢直樹」には、そのような人物が登場していたが、世の中の組織はそのような組織ばかりではない。また、ゴム会社のような優れた人材を輩出している組織でさえ、身の丈以上の会社を買収した異常事態ではおかしなことが起きてしまう。大人の誠実さが組織で生きてゆくには求められる。

カテゴリー : 一般

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