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2018.01/03 観光立国JAPAN

昨年末30日にゴム会社の友人たちと新宿で忘年会をしたが、23時過ぎの新宿ゴールデン街は、ここが日本かと疑いたくなるような国際色豊かな光景だった。SNSの効果でこの地は一気に海外からの旅行客であふれる地域になったのだ。

 

製造業の工場が、安い労働力を求めASEANはじめアジア諸国へ出ていったために、新しい産業資源として観光資源が注目され、国を挙げて観光立国日本を目指し始めた。その結果、京都や奈良以外の観光資源が整備され、日本に外人の旅行客があふれ出した。

 

日本人の人口も減少し始め、何世紀先には日本人は絶滅危惧種になると言われているが、観光立国の副作用である国際結婚が進めば、新しい日本人がその心配を吹き飛ばしてくれるかもしれない。

 

ただ、このまま第二次産業が衰退し、第三次あるいは第四次産業へ移行するとは思えない。例えば、最近山の中の漁業が注目されたり、LEDを使った植物工場が稼働し始め、第一次産業が第二次産業の影響を受け新たな進歩を始めた。

 

40年ほど前にゴム会社創業50周年記念論文の募集があった。豚の繁殖力と牛肉のうまさを狙った「トン牛」や荒唐無稽な「マリン産業」など中身のないキーワードが躍る論文が首席となり、その著者だった友人が賞金10万円(当時学卒の初任給一か月分の手取り額に相当)を獲得した。ゴム会社の基盤技術から起業する高純度SiC事業を真摯に提案した当方の論文は入賞すらしなかった。

 

友人が賞金の10万円で二人だけの残念会を開いてくれたが、このおかげで高純度SiCの事業を新事業として必ず立ち上げる決意をすることになった。それが実ったピュアベータ事業がゴム会社で今も続いている。

 

トン牛は未だ世の中には登場していないが、無名の企業が始めた山中で海の魚を育てる事業は、味がよいとテレビで紹介された。審査員はトンでもない発想を重視して論文を審査したのかもしれないが、それが極端になると社員は白ける。

 

恐らく産業はその垣根や時代の想像を越えシナジーを活かして新たな発展をするのかもしれない。例えば二次電池では、その起電力が大きくエネルギー密度が高いLi二次電池に注目が集まっているが、資源の偏りと埋蔵量の少なさから価格が高い。

 

しかし、そのLiより少しだけ起電力が低いNaは、海に豊富に存在するのでNa二次電池は究極の安価な二次電池をLi二次電池技術の資産で容易に設計できる可能性が存在する。その時電池は海産資源を活かした電池になるのかもしれない。観光立国もよいが、第二次産業の新たな展開も日本には必要だ。技術と観光の日本をめざし頭を柔軟にして技術者はがんばろう。

 

(注)記念論文の審査には論文捏造問題や盗用問題で有名になった大学のタレント教授を中心に行われた。論文審査員の知性のレベルで、選ばれる論文の質は変化する、と事前にうわさされていた。ちなみにゴム会社の次世代新事業提案が論文募集の趣旨だった。ゴム会社の基盤技術に新規コンセプトのゾルゲル法を展開した実現可能な提案は趣旨に沿っており没になるはずがないと思っていた。例え無念な結果になったとしても、歴史は真摯な努力に報いてくれる。ドラッカーが組織に対する貢献で誠実と真摯さが重要とその著書で述べている所以である。一時の挫折で腐ってはいけない。

カテゴリー : 一般

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