2018.01/23 西部邁氏の自裁死
昨日西部邁氏の死が報じられた。日本を代表する思想家であり経済学者だ。「国民の道徳」の著者でもあるので、この人を右翼と勘違いされている人もいるのではないか。
すでにネットには様々な情報が流れているので、この方に関することをここでは書かない。ただ、昨年暮れから自殺について「自裁死」という表現をされており、心配していた。
「生の最期を他人に命令されたり弄(いじ)り回されたくない」という思いから今回の死に至ったとするなら、大変もったいない生命の使い方だと思う。70歳定年制が議論されている時代に、まだ78歳である。
高校生の時に同級生が自殺した。高校合格後、父親が中国・四国地方へ転勤となり、彼を一人名古屋に残して家族は父親と引っ越していた。
彼の遺書には「交通事故などの他動的な死よりも能動的な死を選びたい」とあった。ベルリオーズのレクイエム(LP)とともに列車に飛び込んだのだが、今でも新聞記事の内容を覚えている。
生命を十分に燃焼した結果の死であれば、周囲の悲しみは和らぐが、そうではない死は、周りに少なからず傷を残す。死者に近ければ近いほどその傷は深くなる。
自裁死を唱え始めた西部邁氏はこのあたりに思いを巡らされたかどうか。健康ならば命続く限り生きたい、あるいは生きていてほしい人がいる。
カテゴリー : 一般
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