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2018.02/01 高分子の難燃化技術(9)

高分子に難燃剤を添加するときに問題となるのは、その分散状態だ。直感的に考えて理解できるように難燃剤の分散が不均一であると難燃剤の機能発揮の効率が悪くなる。

 

具体例を示すとポリエーテル系軟質ポリウレタンでは、塩ビと三酸化アンチモン微粉をポリエーテルポリオールに分散させて使用する。この時、ポリエーテルポリオールにうまく分散できたとしても、工程で沈殿する問題がある。

 

沈殿を防止するためにポリエーテル系ポリオールのタンクの中では、ノウハウが必要な攪拌が行われている。この攪拌がうまくゆかないと、所定の処方で自己消火性の発泡体が得られない。

 

分散がどの程度影響するのか調べたことがある。分散状態の数値化が難しいので、ポリエーテルポリオールに塩ビと三酸化アンチモンを添加して攪拌時間を変えた実験を行い添加量の影響を調べた。

 

およそ5wt%程度の違いがあった。すなわち分散時間が長いほうが添加量が少なくてポリウレタンを難燃化できたのだ。同様に、ホスファゼンと呼ばれる化合物に反応性の基を導入して反応型難燃剤として用いたときと添加型で用いたときと調べてみた。

 

こちらは5-10wt%程度の差が現れた。反応型のホスファゼンのほうが少ない添加量でポリウレタンを難燃化でき、難燃性能のばらつきも小さかった。

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カテゴリー : 高分子

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