2018.02/14 昨日の補足
老化防止剤やワックスその他の配合剤を用いないゴムがどのようなものかは教科書を読んでいただきたいが、形式知や経験知の観点で実用性のあるゴムなどこのような処方で製造できない。
一方、界面活性剤で問題解決できない、と形式知の観点で完璧な結論が出ていた問題に対して、どうしてまた界面活性剤のアイデアがひらめいたのか。それは、当方がこの増粘問題を界面活性剤で解決できない、と結論された否定証明を知らされていなかったからだ。
さらにその後当方の界面活性剤技術を特許として出願しているが、その特許を書く時でさえ界面活性剤という言葉を使うな、と指示され、そこではじめて研究報告書の存在を知らされた。仕事を開始して数か月過ぎてからである。
この界面活性剤で解決できないという完ぺきな否定証明をお手伝いの依頼されたときに読んでいたら、アイデアなど浮かばず一晩で結論を出せなかった可能性が高い。それでも、配合剤の入っていないゴムというものが耐久性のないことを即座に説明するような無思慮な対応は、しなかった。
しかし、情報を知らされていなかったことが、素直なアイデアのひらめきと、それを確認する実験につながった。そしてこの実験結果は、一年もかけて研究したのに隠されていた報告書の内容を完全にひっくり返すような結果だったので、相手を怒らせたのかもしれない。さらに、その結果はたった一回の一晩静置するという簡単な実験からえられていた。
今冷静に考えるとこの時のマネジメントは極めて稚拙である。当時当方は一般的な職位でいえば係長の役職にいた。そのような立場の者に対して、ただ黙って仕事を手伝え的な依頼の仕方は非常識だろうし、少なくとも同じ社内で同じテーマを担当する研究者にテーマに関する情報をすべて開示しないという秘密主義もおかしい。
その非常識な依頼に対して、当方は臥薪嘗胆し、静かにそして謙虚に実験結果を示したのだが、このようなお手伝い依頼の背景では、否定証明をひっくり返したような実験結果となって、せっかくの忖度も、「モリカケ問題」同様に悪い状況を生み出してしまった。ゆえに忖度をしなくてもよい組織が理想であり、これはドラッカーの遺言でもある。
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