2018.02/15 カオス混合実現方法のアイデア
カオス混合のアイデアは、PPS/6ナイロンをマトリックスに用いた中間転写ベルトの押出成形を眺めていて、成形終了時の音の変化からひらめいている。ひらめきは一瞬だったが、しかもその一瞬は、ぼーっと眺めていたときなので、NHKの特番で山中博士が説明されていたアイデアがひらめく瞬間そのものだ。
しかし、このアイデアがひらめくまでに、30年近くの年月がかかっている。カオス混合について教えてくださったのは、ゴム会社に入社したときの、神様のような指導社員だった。
ただしカオス混合がどのような混練技術であるかを習ったが、どのように実現するのかは、教えていただけなかった。さらにそれを考えるのが当方の仕事と言われていた。そのような指導だったので、業務が代わり、指導社員が女性に代わっても、カオス混合の実現方法を考え続けた。
すなわち、材料開発においてプロセシングの機能に力点を置き技術を眺める日々となった。材料のプロセシングについては、化学工学あるいはプロセス工学という分野である。今、たいていの大学では独立した化学工学の講座を開設している大学は少なくなったが、工学としてアカデミアで扱うべき大切な分野だと思っている。
しかし、その学問分野は学際的であり、アカデミックな扱いが難しいのかもしれない。また、その昔学んだ時に機械工学とどのように異なるのかその差異が不明確だったように、アカデミックは何を研究したらよいのか理解していなかった可能性がある。
プロセシングは単なる装置の学問ではないのだ。材料がその過程で様々な変化をしている。すなわち材料の機能を生む出すため、作りこむための機能の学問でなければならない。このような視点を本来は大学で学びたかったが、残念ながらゴム会社で学ぶ以外に方法がなかった。
ゴム会社の最初の指導社員は、レオロジーの解析を電卓一台で常微分方程式を解きながら進める理論派だった。それゆえ形式知に関して厳しかったが、プロセシングがどのようなものであるかは経験知として指導してくれた。
カテゴリー : 一般
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