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2018.02/18 カオス混合装置の発明(1)

カオス混合という混練技術について知ったのは、新入社員の時である。防振ゴムを樹脂補強ゴム(TPEと呼ばれている樹脂と同一構造だが、射出成型できず通常の加硫ゴムのプロセスで成形体が作られる)で設計するテーマを担当したときである。

 

一年の予定が、たった3ケ月のテーマとなったが、開発処方は特許出願されて製品化に成功している。このテーマを担当していた時に、指導社員から混練技術の実務について濃厚な指導を受けた。

 

特に、パイロットプラントのバンバリーを操作し、20kgノンプロ練したゴムから100gほど使い、ロール混練(プロ練)して評価サンプルを製造した手順には驚いた。使用しなかったゴムは廃棄するのである。

 

大抵はバンバリー1バッチのゴムで加硫剤などを追加して10水準ほどのゴムをプロ練するので1kgほど使用するが、残りはボイラーの燃料となる。

 

もったいないと思ったが、指導社員は、ニーダーを使えば小スケールで練り上げることができるが、そのプロセスで最適化されても実用化の時には、今以上の廃棄サンプルが出ることになる、それが加硫ゴムの混練だ、と説明された。

 

すなわちバンバリーを用いたときと小スケールニーダーを用いたときでは、同一配合でも出来上がる加硫ゴムの物性が異なる、というのだ。その結果、小スケールニーダーで素晴らしい物性のゴムができたとしても、実用化できない場合も出てくるとのこと。

 

小スケールニーダーで製造したゴム物性が、大スケールのバンバリーを用いて製造したゴムのそれよりも悪いならば良いが、そのような結果になることは稀で、たいていは量産化で物性が悪くなり、ひどいときには実用化できない場合もある、と実験をやっているときによく言われた。

カテゴリー : 一般 高分子

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