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2018.02/27 ドラッカーの遺言(10)

オリンピックは閉幕したが空前のメダルラッシュで各放送局はその余韻に浸っている。見たくなくてもTVをつけるとその録画が映されるので同じシーンを何度も見ることになる。

 

そこで気が付いたことがある。氷上のチェスと呼ばれているカーリングは、チェスよりも運の占める要素が多い競技ではないか、ということである。

 

そして、この競技は練習とチームワーク、スタッフのサポートでその運の影響を受ける要素を減らすことが可能なのでスポーツとして認められているのだろう。スポーツには、例えば今回のネイサンチェンの様にプーさんの嵐という不運な出来事で勝負が決まる場合がある。

 

このようなことを書くのは、今回の日本チームの勝ち方である。対戦している両者それぞれが最後の一投を狙い通りのところへストーンを置けなかったのである。ただ、日本のストーンはイギリスが2点を取り逆転するような一投を決断したくなるような微妙な位置だった。

 

一方のイギリスは、そこで一点をとり、引き分けにして勝負をリセットする延長戦を選択することもできた。すなわち、イギリスは最後の一投で勝負の流れを決めることが可能な立場で、勝利を決めに投げたストーンのわずかなずれが日本の勝利となるようなコースへ行ってしまったのだ。

 

試合が終わってからイギリスのコーチは試合には負けたが、あの選択しかなかった、と答えている。この言葉の意味するところが、カーリングというスポーツの面白さを物語っている。

 

すなわち、ストーンの最後の一投に失敗しなければ必ず勝てる、と判断しているのだ。これは、勝負の負けを自らの責任とする状態である。延長戦に持ち込んで勝てるかどうかは、運あるいは不明であるが、あの場面は、確かにミスショットさえしなければ勝てる場面だった。

 

これは、チェスとは異なる判断が求められるゲームで、むしろビジネスに近い。

 

ドラッカーは、経営者の条件で、「意思決定において満たすべき必要条件を理解しておくことは、最も危険な決定、すなわち、都合の悪いことが起こらなければうまくいくという種類の決定を識別するうえでも必要である。」と述べている。

 

すなわち、勝負で競り合っていた状態の10ENDで、イギリス側が延長戦に持ち込むことは、都合の悪いことが起こらなければうまくいくという判断だったのだ。

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