2018.03/11 誠実さが求められる時代
貴乃花親方が9日、部屋の担当弁護士を通じて内閣府に対して告発状を提出した、とニュースで報じられた。これまでの一連の成り行きから、ほぼ予想された行動である。貴乃花親方を批判しているのではなく、日本女子レスリング協会でも起きていることだからとりあげた。
やや異なるカテゴリーに思われるかもしれないが、昨年報じられた燃費計測における不正や材料の品質データ改ざんが明るみに出た問題も同じような時代背景があるととらえている。すなわち、一昔前ならばいずれの問題においても、大人の対応なり、長いものに巻かれろ的発想が重宝され、何か問題が発生した時に事を荒立てないことが良しとされた。
あるいは、裸の王様のごとく真実を指摘すると子ども扱いにしたり、その場あるいはその組織から摘まみだされたりした。それは社会全体が誠実さを大切にしながらも誠実さでは現実を生きてゆけない、とあたかも誠実さを時には忘れることが大人の社会では大切という誤解をしていた時代だから許された。
しかし、振る舞いも含めた組織の価値が重視されるようになり意識は変わりつつある。企業はコンプライアンスを重視し、組織活動そのものがドラッカーが指摘したように誠実さを求められる時代になった。
また、情報化時代になり、過去には躊躇された匿名の告発が容易になった。その結果、大人の対応を求めていたのでは組織の不誠実さを社会にさらけ出すことになり、企業価値を損ねるリスクが大きくなった。
燃費のごまかしや、品質データの改ざんでは、インターネットの世界に内部告発の情報が出るや否や経営者による謝罪の記者会見が迅速に開かれるようになった。そして1社だけでなく組織内にその疑いのある会社は競って謝罪会見を開くという、不謹慎かもしれないがやや滑稽な光景がTVに映し出された。
相撲協会は、隠ぺい工作をしていたことが社会に明らかにされていてもそれを無かったことのように解決をはかる大きなミスを犯した。さらに第三者機関が間の抜けた対応をした結果今日の事態に至っている。
レスリング協会にしても被害者は伊調選手であるにもかかわらず、その事情聴取も行わないで、告発されるや否やそのような事実は無い、と否定するミスをした。パワハラなどの問題では、従来の対応では誠実さを欠くので誤解を招くことを知るべきである。
誠実さが無ければ解決できないセクハラやパワハラなどの撲滅が社会で真剣に取り組まれている時代である。組織で何か問題が起きたときに、昔の様な対応をしていたのでは、社会から組織そのものが罰せられる。
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