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2018.03/18 高分子の構造と物性との相関(3)

物質の弾性率は物質固有のパラメーターと誤解されている。無機材料における結晶であればその認識は正しいかもしれないが、同じ無機材料でもガラスになると非晶質なので、弾性率がばらつくときもある。

 

それでも無機ガラスでは、そのばらつきが小さいので組成から決まるパラメータとして捉えても、日常困らない。ところが高分子材料になると、その弾性率は材料を製造したプロセスに依存して変化するから大変だ。

 

さらに高分子材料では、弾性率の経年変化まで起きる。これが高分子の劣化と結びつけられるとそれで納得してしまうから、物質の基本的なパラメーターの一つである弾性率でさえ、高分子の世界では、摩訶不思議なパラメーターとなる。

 

しかし、短期間の研究ではこの弾性率の経時変化が問題にされず、高分子の構造と弾性率の関係としてまとめることができる。その結果、高分子の弾性率が長期間の間に低下すると劣化の問題と結びつけられ解釈されることになる。

 

高分子は賦形化の時にわずかなひずみを抱え込む。射出成形体が時々脱型後変形したりするのはそのひずみが解放されるためだが、これは緩和現象である。短時間の高分子緩和現象について多くの論文が存在するが年単位の長期の緩和現象について研究例は少ない。

 

ゆえに脱型後短時間に変形した製品は除去されるが、市場において長時間にわたる高分子の緩和でこのひずみが解放されるときに品質問題が発生する。

カテゴリー : 高分子

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