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2018.03/19 ブリードアウト

ブリードアウトは、日常で接する高分子材料の品質問題と関係する現象だ。例えば、べたべたネバネバしたマウスやハンドバッグ、ケミカルシューズ等のブリードアウトによる表面状態の変化した品物は身近にみられる。

 

あまり気がつかないが、タイヤは毎日ワックスがブリードアウトしているので耐久性が確保されている。すなわち、ワックスがブリードアウトし表面に薄い膜が張った状態なので紫外線(UV)からタイヤのゴムが守られている。

 

昔子供のころ、よく粉を吹いたようなタイヤを見かけたが、最近はそのようなタイヤをまず見ない。ここにもイノベーションがあったのだ。すなわちワックスはブリードアウトしやすいように低分子のものが使用されるが、これが表面で結晶化すると粉を吹いたような状態になる。

 

この状態になるとタイヤ表面を均一にコーティングできていないのでUVによる劣化が進行することになる。この結果、昔は粉を吹くだけでなく、ひび割れの起きたタイヤも見かけた。

 

話が脱線するが、タイヤは多少ゴムが劣化し、ひび割れ状態になってもすぐには壊れないように設計されている。すなわちタイヤはタイヤコードが応力を支えているので、空気が漏れない限り、多少ひび割れても走行に支障をきたさないが、危険なのでこのようなタイヤは交換すべきである。

 

タイヤは皆黒くて同じに見えるが、品質の信頼性は今の時代でもやはり差がある。これは、自動車の運転を始めてずっとあるメーカーのタイヤを使い続けてきたが、1年前車を購入した時にタイヤのメーカー指定を忘れた。

 

冬場は、昔なじみのメーカーのスタッドレスをはいていたが、これを交換しようと新車時についていたタイヤを触ったら、何とも言えぬ肌触りだった。すなわち夏場のタイヤを保管していた間にワックスがブリードアウトしていたわけだが、それが不均一だったのだ。ブリードアウトの状態でワックスの設計を感じることが可能である。

 

昔は、夏場も冬場も気にしないで同じタイヤを使っていたが、最近の夏場タイヤは転がり抵抗が低くなっている。おそらく東京の冬ならばスタッドレスタイヤに交換する必要もないかもしれないが、昨年東京でも雪が大量に降るとの長期予報を聞き、11月にブ社のスタッドレスタイヤへ交換してみた。

 

天気予報はあたり、2回ほどタイヤ交換の恩恵と凍てついた道路でも安心して車を運転することができた。このタイヤ交換のおかげで、新入社員時代に座学で聞いたワックスの話を思い出した。同じ状態で保管したスタッドレスタイヤの表面が年末にどのようになっているのか楽しみだ。

カテゴリー : 一般 高分子

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