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2018.03/26 ロバストが要求されるスポーツ

イタリア・ミラノで行われた男子フリー。大会前に右足甲を痛めていた宇野選手はジャンプで精彩を欠き、転倒するなど苦しみながら演技を終え、リンク上でもインタビューでも涙を流した。

 

この宇野選手に対して、プロフィギュアスケーターの安藤美姫の、「痛かったよね…泣くよね…やり遂げたあなたは本当に強い」とたたえたツイッターが話題になっている。

 

安藤嬢は女子の公式試合で4回転ジャンプを世界で初めて成功させたスケーターだが、リンク外のニュースの話題が多くスケーターとしての功績が霞んでいる。ドラッカーが「どのように覚えられたいか、そう思って生きよ」と著書に書いていたことがよくわかる。彼女の今のような生き様では、彼女が偉大なスケーターであったことが忘れられてしまう。

 

安藤嬢が4回転ジャンプを成功させたときに、マスコミ界は真央ちゃんブームだった。それもあって、彼女の偉業はあまり知られていないが、その責任はその後の彼女にある。モロゾフコーチとの恋愛に走ったり、そのコーチのアドバイスに従い、4回転を封印し、プログラムの難度を下げロバストの高いプログラムに変更したり、と甘い人生を送っている。

 

浅田選手のトリプルアクセルも最初はロバストが低かった。「あの子は大事なところで転ぶ」と森元首相が発言し大炎上しているが、やがてそのロバストも上がり、キムヨナとの名勝負を繰り返すことになる。ロバストを求め努力を続けた浅田選手と、ロバストを求め難易度を下げた安藤選手とはスポーツに対する姿勢や考え方が異なるのだ。

 

トリプルアクセルに拘った浅田選手はその後、スケート選手として選手生命を左右する膝を痛め引退することになる。確かに安藤選手も脱臼に苦しんだ過去があるが、安直な選手人生を送った彼女に「痛かったよね」と言われても宇野選手は迷惑ではなかろうか。

 

一流を目指すスポーツ選手ならば、ロバストを高めるために、その技術レベルを下げるような取り組みをしてはいけない。浅田選手が今も国民に尊敬され愛されているのは、練習量を多くしロバストを上げ挑戦し続けたからである。

 

今回のK.オズモンドやネイサンチェンの優勝で終わった世界選手権は、転倒者続出の大荒れだったが、その荒れた試合を見ながらいろいろ考えさせられた。

 

技術開発もこのスポーツと同様にロバストが要求されるが、その時に目標スペックを下げるシステムと、高い目標を狙いながらロバストをあげるシステムとどちらを選択するのかは技術者の責任である。

 

カテゴリー : 一般

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