2018.03/30 ブリードアウトの秘密(3)
PPS/6ナイロンのストランドがべとべとしていないのは、6ナイロン以外の添加剤がPPSに添加されていないからだ。そのうえ6ナイロンのTgが室温よりも十分に高いためである。
これは高分子添加剤がブリードアウト防止に使えるという一つのヒントを示している。しかし、高分子添加剤の問題点として常に改質対象となる高分子の改質ができるわけではないのだ。
換言すれば、改質したい高分子に相溶する高分子を見つけることが至難の業で、異なる高分子の組み合わせを相溶しようとしたときにフローリー・ハギンズ理論による制約をどのように乗り越えるのかという問題が出てくる。
そこで高分子の改質に低分子が用いられているのだが、なぜか低分子を用いるときにこのフローリー・ハギンズ理論を忘れている。少し物理化学に造詣のある人は、SP値でこの問題を考えようとする。
SP値で考えてることは、科学的視点で材料開発を行う時に間違ってはいない。しかし、SP値で選択された低分子を添加してもブリードアウトは起きてしまうのだ。
低分子では、室温以上で分子運動性が高分子よりも大きいので、改質しようとする高分子内部において拡散速度が速く、その結果内部に分散した低分子が、表面に移動してくることになる。
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