2018.05/22 何が問題か
「頭のいい人ほど成果を出せない。間違った問題を正しく解いて満足しているからだ」というのは故ドラッカーの言葉で、彼は目の前に遭遇した問題を前にして、いきなりその問題を解き始める頭のいい人の行為を批判している。そしてもし何か問題を前にしたならば、その問題にとらわれることなく落ち着いて「何が問題か」をよく考えろ、と言っているのだ。
女子レスリングで起きたパワハラ問題や、財務省事務次官のセクハラ問題では、責任を問われていた人が、その責任を正しく理解するまでに時間がかかっただけでなく、その周囲の人たちも正しく問題を捉えることができずに誤ったコメントを出していた。
そして今回は日大のアメフト問題である。この問題では、事件の詳細がTVで何度も報道され、また日大の監督やコーチのインサイドのビデオ情報まで飛び出し、社会問題化しただけでなく、それを見た国民の多くが何が問題かを正しく見極めたため、珍しく日大監督を擁護する意見が彼の周辺以外からは出てきていない。
女子レスリングの問題でも財務省事務次官の問題においても、第三者の一部で問題を正しくとらえることが出来なくて当事者を擁護する意見が見られたが、今回のアメフト問題では、情報が早期にすべて出されたので、さすがに日大アメフト監督を擁護する発言を第三者がしにくい状況である。
それでもまだ日大側では正しい問題が見えていないためなのか、正しいアクションがとられていない。とうとう反則を行った選手本人から真相が語られるに至った。そして、その真相がビデオで明らかにされていた通りなので、この選手への批判よりも真相を語った勇気をたたえる意見が多い。
しかしここで多くの人に、「なぜ、反則をした選手が真相を語っても日大側や監督がその真相を認めたうえでの行動をとらないのか」という疑問が出てくる。当方はこの疑問についておおよその推定がついている。おそらく日大の監督やコーチは、被害にあった選手がけがをしたくらいでどうしてこのような大きな騒ぎになったのか、という新たな誤った問題を設定しているのかもしれない。
実は組織で発生する問題について、このような誤った問題を解き続け、なかなか正しい問題を設定できない状況というのは起こりやすい。その結果事態を収拾できなくなるケースがある。故ドラッカーは、その解決策を提言しており、参考になる。もし、組織の問題でお困りの方はご相談ください。
カテゴリー : 一般
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