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2018.06/30 有機合成化学(2)

大学4年の時にシクラメンの香りが流行していた。だから、卒研にシクラメンの香りの合成ルート開発をテーマとした。天然物の合成ルート開発をライフワークにとも考えたりした。当時アメリカのコーリー博士がその分野で有名だったので彼の論文をよく読んでいた。

 

所属していたのが有機合成の講座だったので、論文を読むだけでなくコーリー博士の研究について知識として身に着けていることは常識だった。だから4年に進級してもっとも力を入れて勉強したのはコーリー博士の研究内容である。

 

化合物の合成経路を考えるにあたり、「逆合成」というコンセプトは有機合成以外の分野でも大変役に立つと感じた。簡単に説明すると、高校生の学習参考書にもあったチャート「結論からお迎え」という考え方である。

 

コーリー博士はこのコンセプトを用いて有機合成デザインをコンピューター上でシミュレーションできるようにした先駆者だ。1980年代にこの考え方は普及していくが、1970年代は先駆的な先生が大学院の講義で少し触れる程度だった。

 

コーリー博士の弟子による「有機合成デザイン」という書が出版されているが、それを購入したのは29歳の時で、すでに有機合成の研究をやめてから6年経っていた。無機材質研究所に留学していた時で、筑波大学の生協でその本を見つけた。

 

この書は期待通りの面白い本で、有機合成デザインだけでなく、その思想は実務にも生かせるような内容だった。すなわち知識の詰まった書であり専門家でなくてもそのコンセプトは参考になるだけでなく、内容を理解すればそのまま知識になる名著だった。

 

 

カテゴリー : 一般

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