2018.07/10 なぜ本屋が少なくなったのか
街の本屋はピーク時の半分近くになったと言われている。この原因はアマゾンで本を買うようになったから、と言われているが本当か。実は日本では本そのものも売れなくなっている。これは、ただインターネットの普及という今の時代のステレオタイプ的な見方では説明がつかない。
また若い人が本を読まなくなった、と言われているが、若い人だけでなく年寄りも読まなくなったのではないか。電車の中で文庫本を読む風景は、いつの間にか携帯電話を誰もが眺める風景になった。吊革につかまりながら化粧をしている女性を見つけて驚いたのは10年前だが、電車の中の化粧は常態化した。
身の回りから本を読んでいる人がいなくなったことからも多くの人が紙の本を読まなくなったことがわかる。紙の本もこのような状況に対応できるようオンデマンド出版技術が進歩し、3000円前後の本を200冊程度でも出版できるようになった。
ゆえに自費出版も一時ブームになったが、そもそも街の本屋が少なくなったのでブームも長続きしない。大手から売れる本しか出版されなくなった結果、購入する人が限られ、出版物の減少となり、本の売り上げが減り、街の書店が少なくなった、というのが大きな原因ではないだろうか。
このような仮説をもとに適当な統計を探したが、見つからない。しかし、パソコンブームで多くのパソコン関係の雑誌や単行本が登場し、それが次第に少なくなった流れや、デジカメブームで写真雑誌や書籍が登場し、それがほとんどなくなった駅の本屋の風景を思うと、間違いではないのかもしれない。
面白いのはコンビニに置いてある雑誌が、街の本屋と少し趣が異なる点である。これに気がついたのはこの10年のことであり、新しい動きに違いない。一定の占い本やノウハウ本が定期的に入れ替えがあり、並んでいるのだ。定点観察するとよく売れる本の話題がTVで取り上げられたりしている。
紙の本が読まれなくなったのはペーパーレスの時代の潮流で理解できる。一方で購入場所の変化という流れと出版社の対応のずれもあるのではないか。それから書籍そのものが高価になったことだ。昔ならば気軽にちょい読みができた環境が壊滅したことが本を読む人の淘汰につながり、そこで書店の廃業がシナジーを起こし、書店の減少を加速しているのかもしれない。
カテゴリー : 一般
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