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2018.07/14 混練技術

混練技術に関する書籍を何冊か読んでみたが、良い本が無い。また、書を読んでいてこれほど違和感を持った経験も少ない。混練技術について書かれている内容が実務に役立たないのだ。

 

混練機構の説明に分配混合と分散混合という機構が出てくる。10年以上前に実用化した中間転写ベルトのコンパウンドは分配混合だけ完璧に進行するように混練システムを設計した、というとものすごい技術に見えるかもしれない。

 

それを可能にしたのはカオス混合だ、といえばこの分野の技術をご存知の方はびっくりするはずだ。ただし、ソフト凝集したカーボンの構造を均一にしてパーコレーション転移を制御しようとしたのは事実だが、分配混合を完璧に進行させる設計などしていないし、この材料の開発で、混練技術の教科書が役立たないことも実感した。

 

その後、上海のある大学の先生が混練について研究されているというので見学させていただいたが、怪しさ100%だった。混練の教科書に書かれていることを確認するような仕事の進め方をされている。基本に忠実と評価できるが、得られた結果の説明が怪しい。

 

PE中でCNTをナノ分散した、というサンプルを見せられたが透明ではない。その理由として添加量が多いからだという。ではナノ分散であることをどのように確認したのかというと、この混練機ではナノ分散が可能になる、という具合に話がかみ合わない。これは通訳の問題ではなく、通訳者も困っていた。

 

混練機のスクリューについてはたいへん詳しく説明してくださるが、混錬された樹脂の説明になると途端に怪しくなる。日本の理事長にあたるコーディネーターを務めてくれた先生までもやや怪しい顔になってきた。日本ではないのであまり厳しい質問をしないように努めたが質問の回答がかみ合っていないことはその場に居合わせた誰もが感じたようだ。

 

とにかく材料の話を避けるように回答をされていたので質問したいことがあっても途中でやめたが、どうも機械工学の専門だったようでコーディネーター役の方が別れ際に謝罪された。

 

この体験は混練の教科書の状況と同じで、教科書に違和感を感じたのは材料加工に対する視点が欠けているのだ。混練では「混ぜること」と「練ること」がプロセスで進行する。「混ぜる」視点のみで教科書が書かれている、といったらしかられるか?

カテゴリー : 高分子

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