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2018.07/16 フィルムのごみ付着とインピーダンス

印刷工場でフィルムが金属の壁に吸い付いたようになる現象は、工程帯電が原因だった。フィルムには帯電防止層があり、さらにフィルムが滑っていたのは金属表面である。だから帯電故障というところになかなか頭が回っていかない現象である。

 

金属は導電性が良いから帯電しないという間違った知識が現象の理解を難しくしているのである。フィルムに何か意思があるわけでなく金属にしがみつくのは、帯電現象以外にないのだが、目の前でその現象が起きるとびっくりする。

 

金属の帯電現象については、帯電の教科書を読むと帯電の説明のために出てくる。絶縁体は帯電しやすいが、帯電現象の説明のためには金属が便利なのだ。例えば高分子材料の帯電現象は、未だに科学で完璧に説明できない。

 

帯電現象は奥の深い現象であるが難しいためか、意外と研究者の少ない分野である。帯電現象の理解にインピーダンスを持ち込んだのは当方が最初である。それまで帯電現象はもっぱら直流抵抗的なコンセプトで現象の理解が行われていた。

 

確かに帯電は正負の電荷が生じ、それが片方だけに残るため直流で考えたくなるが、放電現象は交流的な電気の流れで進行しているようだ。研究途中でリストラされたので、それ以上の研究ができていない。

 

しかし、たばこの吸い殻の廃付着テストの結果とインピーダンスとの相関は、日米写真学会で発表し注目された興味深い成果である。その研究のきっかけは、印刷工場で見た滑り性不良による品質故障だった。

カテゴリー : 高分子

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