2018.07/19 横浜市の大口病院事件
横浜市大口病院の事件について捜査が進み、その状況が報道されているが、単純な看護師の殺人事件とは言えない、いくつか組織の問題点が浮かび上がってきている。
おそらく今後専門家によるこの事件の考察が行われると期待したいが、「一人の犯人による殺人事件」だけでなく職場の問題が素人の目にも見えてくる。
まず大きな疑問として、なぜ20人もの被害者が出るまで犯行が行われたのかという問題である。終末期の患者の病院、という特殊な事情があっても、これは不思議である。
次に、20人の殺害以外に異常な事件が起きていたという。まだ事件の解明途中の情報なので異常な事件一つ一つに言及しないが、それをどうして職場は放置してきたのだろうか、という疑問である。
さらに、犯人の看護師は、20人の殺害以外は犯行を否定しているという。警察が捜査途中でこうした情報を流しているのは、警察もこの点を異常ととらえている可能性がある。
すなわち、犯人は逮捕されたが事件がまだ解決していない、と警察は考えているのかもしれない。また公開された異常な事件の中にはそのままでは警察が扱えない民事事件のようなものまで存在する。病院の社会的役割を考慮して警察が意図的に捜査情報を流している可能性もある。
転職して以来考えてきた問題の一つに、「おかしなリーダー」が生まれる問題がある。この「おかしな」は部下の立場から見て「おかしな」という意味である。先日逮捕された息子を裏口入学させた文部省の役人も部下から「おかしなリーダー」の大合唱が起きていたが上位職者の評判は悪くなかった。
この文部省の役人ほどでなくても部下の立場で迷惑な「おかしなリーダー」がいる。それは鈍感なリーダーで、例えば、組織の中で異常と思われる事件が発生したときに、それを日常の些細な問題としかとらえられないリーダーである。
このリーダーの組織では、異常な事件の被害者はただ我慢する以外に方法が無くなる。我慢できない場合には、被害者がその組織を離れる以外に問題解決の方法(注)が無いからだ。
当方はこのような異常な組織を体験した時にたまたまヘッドハンティングの会社から写真会社を紹介され転職の機会が得られたが、このような組織内の異常さに対して感度の低いリーダーにより大口病院は運営されていた可能性がある。
組織の病理が放置された場合に、病院の場合では今回の事件のように患者の死として現れるが、東芝や東電のように関係する企業だけでなく社会全体まで影響を与えるケースもあるので大変だ。東電内部の異常さは著書として出版されている。
(注)コミュニケーションで解決できる、と考えるのは甘い。コミュニケーションで解決できる組織ならば、まだ健全である。昨年から品質データの捏造について社長の謝罪会見が続いているが、調査してみると謝罪会見の前にインターネット上に内部告発がされているケースを見つけた。これも組織として問題を抱えている実例である。バブルがはじけてから見える化運動が普及したが組織で発生する異常な問題は、組織リーダーが異常として気がつかない限り是正されず、大きな問題として社会へ突然見える化される場合があるので、組織風土に鈍感ではリーダーは勤まらない。このようなリーダーを生み出さないようにする仕事の責任は、病院長や社長などトップにある。
カテゴリー : 一般
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