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2018.08/13 研究者を目指す人へ(3)

20世紀はまさに科学の時代と呼んでもよいような、科学が技術を牽引した時代である。しかし、素粒子論の状況や固体物理の動向を見ても科学が完成の域に達したように感じる。

 

但し、それは従来の学校教育の視点からの見方であって、少し視点を変えると科学の処女地とも呼べる広大な世界が存在する。

 

ジジイと呼ばれてもよいような年齢なので、そこへ飛び出そうとは思わないが、望遠鏡でのぞいては、技術ネタを探している。起業してからすでに一つそれを見つけ、わけのわからない技術を生み出すことができた。

 

高分子物理は、従来の科学知識だけでは手におえない分野だと思っている。統計熱力学がかなり昔から研究されているが、その成果は高分子物理の世界でまだ実力を十分に発揮できていない。

 

生命科学分野は、少しづつ進歩しているが、20世紀の材料科学における進歩のスピードにはまだ追いついていない。これらの理由は簡単である。新しいコンセプトにより創り出さなければいけない科学の研究領域の情報が全くないからだ。

 

このような話は、どうしても雲をつかむような話であり抽象的になる。具体的に語ることができた瞬間に科学の新領域が誕生する。若い人は今学校で学んでいる知識を少し疑ってみることをお勧めする。

 

大学の先生の中には、すべてわかっているような講義をされる方が多いが、例えば高分子の世界については、わかったように話してはいけない知識が多い。単純に思えるTgでさえ満足な説明が難しい。

 

高分子の非晶質状態は無機材料のそれよりも大変複雑であり、そのため無機材料のTgと高分子材料のそれとは少し意味が異なる。これを当方が体感できるのは、セラミックスや金属の研究を若いときにしていたからだ。

 

学生時代に研究分野を変えなければいけない不運が今にして思えば幸運だった。個性的な先生に指導されたり、高純度SiCの発明をゴム会社で躊躇なく推進できたり。専門がわからない状態は、研究者としては三流になってしまうが技術者として便利なキャリアである。

 

 

 

 

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