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2018.09/25 PPSというポリマー

ポリフェニレンサルファイド(PPS)は、本格的な普及が始まった材料でkg単価1500円という価格も見えてきた。10年前には2000円以上で販売されていたのでこれは驚くべきことである。

 

PPSにはリニアタイプと架橋タイプがあり、最初に登場したのはシェブロンフィリップスの開発した架橋タイプのPPSである。ただし架橋タイプのPPSは分子量が低いのでガラス繊維などと複合化して射出成形体に用いられた。

 

安価なガラス繊維と複合化するので、kg単価は希釈効果で700円前後まで下がった射出成型用PPSというものも存在する。

 

架橋タイプは射出成型用以外に用いることができないので押出成形も可能なリニアタイプと呼ばれる高分子量のPPSも遅れて開発された。2005年に押出成形で中間転写ベルトを開発しているが、この時用いたのはリニアタイプのPPSである。

 

メーカーの技術者からも架橋タイプでは押出成形や繊維を作ることはできない、と言われたのでそれを信じていたが、驚くべきことに当方が開発した二つの技術を合わせると架橋タイプのPPSでも繊維化ができたのだ。

 

架橋タイプのPPSは分子量が低いために繊維化が難しいはずだが、どうもコンパウンディングの段階で**になっているようだ。**にご興味のある方は問い合わせていただきたいが、この現象以外に驚くべきことがいくつかこの7年間にPPSという材料で見つかった。

 

面白いのは国内のあるPPSメーカーで実験したところそれがうまく再現できないのだ。しかし、当方が指導している中国のローカルメーカではそれが生産レベルにあり、あるローカル射出成型メーカーの商品に採用されている。

 

日本のメーカーでうまくいっていない理由は、当方の指導を受けていないためだが、それだけではない。自分たちの技術を過信している可能性がある。

 

PPSに限らず他の樹脂でも教科書に書かれていない現象が見つかっており、技術に対する認識の違いが材料の新たな現象発見の力になっているようにも見える。技術の過信は禁物である。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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